学校だけが教育ではない 市民性を身につける教育へ
子どもが社会に参加する教育
私たちは社会をよくするために、今までないものを生み出し、協力してそれを実行する必要があります。これは大人も子どもも同じです。ところが、今までの教育はそのような社会変化を作り出すことに向いていませんでした。先生が提供した課題を解くだけで、子ども自身が何かを生み出すことがなかったからです。また、子どもたちは自分にそういう能力や権利があることを認識していません。そこで、そういった能力や意識などをいかに持たせるかが教育の課題となっています。
子どものアイデアで社会を変える取り組み
すでに学校では、社会にある問題を見つけて、解決策を模索する「総合的な探究の時間」が総合学習として設けられています。ただ、それはあくまで学校内の取り組みで、実際に社会変化を起こすわけではありません。しかし、最近では学校外で子どもたちに社会参加してもらう取り組みが行われています。高知市の「こうちこどもファンド」では、街づくりのためのアイデアを子どもたちから募り、審査のうえ実行しています。費用は市が全額負担します。同じような取り組みは、ほかの自治体でも行われています。
学校内で同じアイデアがあっても、子どもが実行するところまではいきません。実行するためには大人との話し合いが必要で、費用負担も生じるため、今までの教育では社会変革は大人の仕事と考えられてきたのです。
子どもを守る教育から社会性を養う教育へ
学校と社会の間には垣根があります。これは子どもを社会から守るためですが、それではいつまでたっても子どもは社会に参加する準備ができません。また、よりよい社会を共に創り出すという市民性が身につきません。投資、政治、宗教は教育においてはタブー視され、子どもが関わることを避けてきました。しかし、そういったことにも子どもが積極的に関わり、自分が市民であることを認識することが重要です。このような学校外での取り組みが進めば、それによって学校教育も変化していくと考えられます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
大阪教育大学 教育学部 教員養成課程 社会科教育部門 教授 手取 義宏 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
社会科教育学、教育学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?