目に見えない世界を見る! 視覚を拡張させるコンピュータビジョン
見えないものを見る技術
コンピュータでものを見る技術を「コンピュータビジョン」といいます。この技術を美容分野に応用すれば、人の肌の状態や肌質をコンピュータが人の顔を見て分析した上で、実物の化粧品データと合成し、化粧後の姿を予測してCGで表示します。つまり実際に化粧をしなくても、その化粧をした姿を仮想空間内(CG、VR、AR)で見ることができます。この技術は人間の目では分からないような微細部分の肌質(肌のキメ、透明感、水分量など)や肌の状態を可視化できるので、肌診断にも応用できます。
産業で求められるCG
化粧品開発分野などのシミュレーション用のCGと映像作品としてのCGとでは重視する点が異なります。どちらも一見本物そっくりですが、シミュレーションでは、単に美しいCGを作ればよいのではありません。コンピュータビジョンとCGの技術を組み合わせて、実物の肌や化粧品の質感を詳細に計測・分析し、肌質に加えて疲労・加齢・スキンケアなどを含めた肌の状態を本物と同じように忠実に再現したり、周囲環境により変化する肌質を予測したりする技術が必要となります。
遠隔医療に貢献するコンピュータビジョン
5Gなどの通信技術が普及すると、大規模なデータ通信が可能になり、コンピュータビジョンやCG技術の可能性はさらに広がります。例えば遠隔医療です。医師と患者は直接会って話ができないため、VR技術と組み合わせて、まるで目の前で診察をしているように見える可視化技術が求められます。しかも、肉眼で見るより高度な診断ができる可能性もあります。
コンピュータでものを見る強みは、人間には扱いきれない膨大な情報を処理したり、人の視覚を拡張したりできる点です。例えばがんの患部は肉眼では判別が難しい場合がありますが、特別なカメラとソフトウェアを使うことによって、明確に見分けることができます。コンピュータビジョンと医療データベースを用いて患部を観察し分析することで、患部を可視化できれば、肉眼で見るよりも正確な診断ができることが期待されています。
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長野大学 企業情報学部 企業情報学科 教授 田中 法博 先生
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