金融工学のエキスパート 銀行や証券会社で働く「クオンツ」とは?
金融の予測のスペシャリスト
銀行、証券会社、保険会社など金融業界で活躍する「クオンツ」とは、金融に関する予測・分析をするスペシャリストです。カンや経験に頼るのではなく、株価や企業の業績などのデータを基に、より正確な予測・分析を行うのが特徴で、株式や投資信託といった金融商品の開発を行うこともあります。
例えば株価の動きを予測しようとすると、為替、金利など株価に影響する数多くの要素の数値とその変動を考えなければならず、扱うデータは膨大です。金融市場は秒単位で動くため、人間の計算ではとても追いつきません。そこで、クオンツが数学や統計学、物理学、プログラミングなどの高度な知識・スキルを駆使して、すばやく正確に計算する方法をあみ出しているのです。
始まりはNASAの研究者
クオンツは、NASAでロケット開発をしていた科学者や数学者がウォール街の金融機関に転職して、高度な数学や物理学を金融の世界にもちこんだのが始まりといわれています。その後、クオンツが用いるような手法を研究する学問として「金融工学」が生まれました。
金融工学にはITの最新技術がいち早く導入されることが多く、最近ではAIや超高速で計算ができる次世代コンピュータ「量子コンピュータ」を活用する研究も行われています。
お金にはなぜ価値がある?
仮想通貨のビットコインは、アメリカのある男性がビットコインとピザを交換したことがきっかけで、「ビットコインには価値がある」という認識が広まり、使われるようになりました。このように、お金に価値を与えるのはそれを使う私たちの「信用」です。ただし信用は不確かなもので、お金の価値は一定ではありません。不確実なお金について、データを生かしてリスクヘッジ(リスクを予測し備えること)を行い、世の中のお金の流れをスムーズにして、経済の安定を支えることがクオンツの大切な役割です。
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先生情報 / 大学情報
創価大学 経済学部 経済学科 准教授 佐久間 貴之 先生
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