講義No.13926 教育

障害ってなんだろう?

障害ってなんだろう?

障害かそうでないかの境界線は?

あなたに障害はありますか? 障害とは何でしょうか。実は、障害のある人とそうでない人の境界線はあいまいです。障害は、その人の個性・特性と、環境との相互作用によって生じるものだからです。メガネやコンタクトをしているあなたは、視覚障害があると考えたことはありますか。もし、この世にメガネがなければ、勉強や部活ができなくなる人も多いことでしょう。このように、障害はヒト・コト・モノといった、環境の影響を受けて形作られる面があるのです。

その子の生きている世界を想像してみる

「集中力が続かない」「相手の気持ちを察するのが苦手」「忘れっぽい」「怒りっぽい」などの、目に見えない個性や特性のある子どもも同じです。大切なのは、その子に「障害があるかどうか」ではなく「困っているかどうか」であり、もし困っているのであれば、環境の調整が必要になります。特に学校や園の先生には、子ども一人一人の個性・特性や困りごとをよく知って、その子に応じた教育を考えていくことが求められます。子どもの多様性を大切にする「特別支援教育」は、すべての子どもに適した教育です。どのような子どもであっても、環境次第では、障害や課題が生じることがあるからです。

「~できない・~しづらい」だけでしょうか?

障害と聞くと、「~できない・~しづらい」という子どもが浮かぶかもしれません。しかし、「~できすぎる・~しすぎる」がために、生きづらさを感じる子もいます。例えば聴覚過敏の子どもは、教室や保育室の雑音がうるさく感じられるため、教室の机・いすの足にカバーをつけるなどの工夫が求められます。また、左利きの人は実感があると思いますが、社会の仕組みやサービスは、たいていが「大多数」の人に合わせてあります。「大多数」の枠組みを飛び出す子どもは生きづらいことも多いのです。そのため、枠組みをなるべく広くとった学校や園づくりが求められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

東北文教大学 人間科学部 子ども教育学科 准教授 杉中 拓央 先生

東北文教大学 人間科学部 子ども教育学科 准教授 杉中 拓央 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

特別支援教育

メッセージ

あなたに障害はありますか? 背が低い人が高いところにある物を取りたいとき、踏み台もなく、助けてくれる人もいなかったらどうしますか? 身長・視力・得意不得意、物事の捉え方など、ヒトにはいろいろな個性や特性があって、彼らをとりまく環境によっては、障害や課題につながることがあります。特別支援教育は、相手に対する共感を大切にして、生きづらい環境を生きやすい環境へと変える工夫を考えます。小さな気づきをアイデアに変えて、課題を解決していく特別支援教育の姿勢は、将来どのような道に進んでも役立つはずです。

東北文教大学に関心を持ったあなたは

“自分らしさ”をのばし、人間性豊かな先生になる
大学で学ぶための基礎を固め、専門教育へとつなげる「基礎教育科目」、教育・保育において必要な知識を修得する「専門教育科目」、教育や保育の現場で出会うさまざまな場面に応用できる、より専門的な知識と技術を修得する「専門発展科目」の三つの柱でカリキュラムが構成され、教育・保育のスペシャリストの養成をめざしています。
また、学生一人ひとりの個性を大切にし、人間味ある先生となって子どもと関わり、未来を創っていってもらいたいと考えています。