考え方を少し変えるだけ! 広がる選択肢と、見えてくる新しい世界
他者への理解をじゃまする、無意識の中の前提
友だちから「肌色のばんそうこうを買ってきて」と頼まれたとします。その時あなたは「肌色って何色?」と疑問を抱くことなく、無意識に日本人の肌の色をイメージしていませんか? あるいは「黒人だからバスケが上手」とか、「タクシー運転手は男性の仕事」とか、思ったりしていませんか? しかし実際には、いろいろな「肌色」が存在しています。バスケが上手な黒人もいますが全員ではなく、タクシー運転手も男性に限った職業ではありません。それなのに一定の型にあてはめて把握しようとするのは、ステレオタイプ(世間に広く浸透している固定概念やイメージ、思い込み)を暗黙の前提にしているからです。
自分のステレオタイプに気づいてる?
ステレオタイプは誰もが持っているものです。そして日常生活において、ステレオタイプを頼りに判断したり行動したりすることは意外に多いのです。大切なのは、その事実に気づくことです。自分の経験や価値観を基準にしていい場合もありますが、自分が「当たり前」と思っている考え方や見方が、誤った認識に由来する可能性があることを自覚する必要があります。なぜならそれが、性別(ジェンダー)、人種、国籍、年齢、職業などに対する偏見や差別につながることがあるからです。
「異文化」に学び、考え方を調整する
ステレオタイプに陥らないための方策の一つが、「異文化」に触れることです。国や人種の違いに限らず、持っている価値観や常識が異なるのが「異文化」です。多種多様な価値観や考え方の存在を認識することで、自分の思考は偏っていないか、勝手な思い込みで判断していないかを、自分自身に問いかける「クリティカルシンキング」を効果的に実践できます。考え方をちょっと修正してみると、自分と他者の違いに気づき、これまでとは異なる視点に立つことができるようになります。肩書やイメージにとらわれずに、目の前の現象を理解しようとすることで選択肢は広がります。その姿勢が、多様性のある社会の実現にもつながるのです。
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先生情報 / 大学情報
東北文教大学 人間科学部 人間関係学科 教授 阿部 裕美 先生
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