生きづらさを抱える子どもたちに教師ができることって何だろう?
通常学級にいる「見えにくい障がい」の子どもたち
近年、通常の学級の中には、一見しただけではわからない何らかの支援が必要な子どもたちがいることがわかってきました。「発達障がい」や「愛着障がい」などがそれにあたり、見た目だけでは障がいがわかりにくいことが、本人たちの生きづらさを強めています。
2007(平成19)年、わが国の障がい児教育は、特殊教育から特別支援教育に大きく舵を切りました。大きな特徴は、発達障がい児を特別支援教育の対象にしたことで、特別支援学級や通級指導教室だけでなく、通常の学級における教育も特別支援教育の対象になったのです。
学校で感じる生きづらさの正体は?
発達障がいの1つ「学習障がい」の症状があると、一生懸命勉強しているつもりなのに、文章の意味や、数の概念が理解しにくくなります。また、「自閉スペクトラム症」だと、友だちとの会話がうまくかみあわず、みんなの中で1人だけ浮いてしまうことがあります。保護者との適切な愛着関係を十分に形成できず、対人関係や学校生活に困難をきたす「愛着障がい(アタッチメント障害)」の子もいます。現代では学校生活の中で困難を感じる子たちがたくさんいて、その子たちのフォローが学校教育の大きな課題となっています。
お互いを認められる学級経営をめざす
教員にとって、そんな子どもたちの生きづらさに寄り添いながら、約40人の学級経営を進めていくのは簡単なことではありません。教員は「目に見えにくい障がい」についての正しい知識を持ち、障がいのある子とそうでない子たちがお互いを認め合いながら学校生活ができるよう、適切にサポートしていく必要があります。自分の生きづらさの正体に気づき、その上で学校生活の中での困難に対応することができた経験は、大人になって社会に出てからも生かされます。そのためにも教育者は、この「見えにくい障がい」についての視点を、常に持ち続ける必要があるのです。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 人間教育学部(※2025年4月開設) 人間教育学科 教授 松久 眞実 先生
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