業績アップのための、「本部」と「フランチャイズ店」のイイ関係
同じコンビニなのに経営する会社が違う
私たちが利用するコンビニエンスストアやファストフード店などの多くは、全国どこでも同じ商品やサービスを提供するチェーン店です。しかし、その経営には2種類の方式があることを知っていますか?
1つは、会社本部が運営する「直営店」で、もう1つは、本部のサポートを受けているものの、別会社によって経営されている「フランチャイズ(FC)店」です。FC店は、加盟店として加入契約することによって、直営店と同じ店名で同じ商品を販売できる仕組みになっています。
2系統の指示では現場が混乱するのでは?
FC店は、加盟している本部と実際に運営する会社から指示を受けることになるので、この2つの方針が食い違うと現場のマネジメントは混乱します。「命令一元化の原則」と言って、経営学では一つの指示系統で命令を出すことが組織の混乱を避けるための基本とされますが、それと矛盾するからです。
過去に、コンビニ本部がイメージや統一感を重視するために消費期限に近いお弁当を「廃棄してほしい」とFC店に指示したところ、FC店の運営会社は少しでも利益を上げるため「値引きしてでも売りたい」と考えたので、裁判になったこともありました。
知識や情報を活用して業績アップ
しかし近年では、本部とFC店運営会社との間に新しい関係が築かれるようになってきました。地域に根ざして商売を行うFC店には、本部が発見できないような地域特有のニーズやノウハウ、スキルといった大切な情報が蓄積されているので、本部がその情報を共有して、商品開発などに生かすようになってきたのです。
こうした「知的資産」をうまく使って、会社の業績を上げようというわけです。このような考え方を「知識経営(ナレッジマネジメント)」と言います。知的資産には、ノウハウやスキル以外に特許やブランド、デザイン、著作権などさまざまな形態の知識が含まれており、これらの活用が企業経営に大きく影響しているのです。
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先生情報 / 大学情報
名古屋大学 経済学部 教授 犬塚 篤 先生
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