SNSも恋愛も生きづらさも、調べることが自由につながる社会学の力
SNSや恋愛から差別まで
社会学はSNSやファッション、ジェンダーや差別など、社会にかかわるテーマならなんでも研究できる学問です。例えば恋愛について、「好きになった方(=結果を求める方)が不利である」という考え方が、最近でもアニメなどで語られています。これは100年前の社会学者であるジンメルがすでに論じていた考え方です。さらに「恋愛を経て結婚する」という考えが当然とされていますが、日本でも1950年代には恋愛結婚は20%程度で、多くはお見合い結婚でした。恋愛と結婚が切り離せないという考え方は、この数十年の間に定着したにすぎないのです。いまでは、同性婚や非婚などの関係も検討されています。
社会を調査した事実から分析
社会学が登場したのは19世紀ヨーロッパでした。社会が農業型から産業型へと変わり、長時間労働や貧困などの社会問題が起きていました。そんな社会を変えようと複数の主義主張が争うなかで、社会学は、まず社会がどうなっているのか事実を調査し反省的にとらえようとして生まれました。そのため社会学では、フィールドワークやインタビューといった「質的調査」、統計などのデータを用いる「量的調査」などで明らかになった事実に基づいて、さまざまな問題や現象を分析していきます。
生きづらさを和らげる
人種やジェンダーなどをめぐって、マイノリティを揶揄(やゆ)するような表現や言動のために「炎上」する個人や団体は絶えません。マジョリティに薄く広まっている偏見は、無知に由来することが少なくありません。まずは直接、事実を知ることが重要です。また、「仕事中はどんな嫌な客にも笑顔で対応しなければならない」といったルールに多くの人が苦しさを押し殺して従ってきました。ですが、近年ではこうした労働を「感情労働」と位置づけ、その是非が議論されるようにもなりました。このように社会をリフレクシブ(反省的)にとらえ、その要因を事実として明らかにすることで、人々の生きづらさを和らげられるといった点も社会学の大きな意義といえます。
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千葉商科大学 人間社会学部 人間社会学科 准教授 中倉 智徳 先生
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