女子は文系が向いている? 学校教育の中に表れるジェンダー
学校にあるジェンダー
「男性は力強い」「女性は家事や育児に適している」など、性別を世の中のさまざまな物事と結び付けて考えるルールや規範をジェンダーといいます。ジェンダーは社会に広く根付いており、学校の中でもたくさん見られます。例えば名簿や成績順、呼称を男女で分けるなど、学校運営の仕組みにジェンダーが組み込まれている例もあります。また、ある学力調査の結果では、理数系科目の成績に性別による有意な違いがないのに、教師が「女子生徒は理数系科目が苦手だ」とステレオタイプをもつ事例も見られます。学校におけるジェンダーは、教師の無意識的な言動によって生徒へ伝わる点も特徴です。
教師の意識と葛藤
そのため、教師はしばしば「子どもにジェンダーの問題を広める存在」として批判の対象になります。しかし、教師にもこれまでの人生があり、さまざまな価値観を身につけています。そうした教師の考えを一方的に否定することは、教師の自信を奪うことにはなっても、ジェンダーの問題を本質的にとらえなおしてもらうことにはつながらないでしょう。ジェンダーにとらわれない教育のあり方を考えるためには、まずは教師の話に耳を傾け、その人がジェンダーについてどのような認識をもっているのか、また教育現場の中でどのような工夫をし、どのような葛藤をもっているのかを丁寧に聞き出すことが重要です。
教育社会学
教育社会学という学問分野では、こうした学校教育の中にさまざまな形で表れるジェンダーの問題について研究しています。具体的には、学校へのアンケート調査や文部科学省の学力・学習状況調査などから収集したデータの分析、実際に学校を訪問して授業の中でどのようにジェンダーが表れているのかの調査、教師や保護者を対象にしたインタビュー調査などです。質的・量的な調査を含む一連の研究成果は、子どもの可能性を制限しない学校づくりに役立てられ、さらにはジェンダーが原因で生きづらさを感じている子どもたちを救うことにもつながるのです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
宮崎公立大学 人文学部 国際文化学科 言語・文化専攻 准教授 寺町 晋哉 先生
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