認知症予防に効果的! 脳や体を元気にする運動と栄養の組み合わせ
運動は脳にも影響を及ぼす
運動は筋肉や骨など身体に効果を及ぼすイメージがありますが、脳にもいい影響をもたらします。例えば運動をすると脳では神経活動が高まります。そして、活動する神経細胞に酸素や栄養素を運ぶために血流が改善され、神経栄養因子の分泌も高まり、脳の記憶をつかさどる海馬で新たな神経細胞が生まれたりします。神経細胞が増えると記憶力が向上するため、アルツハイマー病などの認知症予防にもつながると期待されています。また、2019年に発表されたWHO(世界保健機関)の認知症予防に関するガイドラインにも、運動と栄養について述べた項目があります。
効果的な運動とブレインガット軸
運動を3分間程度行うことにより快適性が高まります。そして、このような運動ではアスリートのトレーニングのように重い負荷をかける必要はありません。更に早歩き程度(中強度運動)の運動により、胃などの消化管機能も脳と同じように活性化します。中強度の運動をした後に胃の活動を調べると、胃が機能するときに発する電気活動が活性化していることがわかります。脳と消化管はバラバラの器官に見えますが、実はブレインガット軸(脳腸軸)というストレス調節軸で密に結びついています。ストレスを感じるとお腹が痛くなるのは、このブレインガット軸が関係しているからです。
運動と栄養の組み合わせで相乗効果
運動により脳や消化管機能が活性化しますが、食品が持つ効果を高める方法としても運動は大変有効です。例えば脂肪燃焼を促すダイエットサプリメントを摂取しても、運動をしなければ脂肪の燃焼は十分に起きませんが、中強度の運動でサプリメントの効果は十分に発揮されます。一方、アスリートがより良いパフォーマンスを発揮するために栄養面に配慮した食事管理が話題になっています。
このように、運動と栄養には密接なつながりがあり、適切に組み合わせることでそれぞれの効果をより高めることが可能です。効果的な組み合わせ方によっては薬に頼ることなく、それに匹敵する力を発揮できるはずです。
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先生情報 / 大学情報
山形県立米沢栄養大学 健康栄養学部 健康栄養学科 教授 加藤 守匡 先生
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