健康法の検証から、AIによる健康サポート実現の未来へ
その健康法は正しいのか検証
健康への関心が高まり、さまざまな情報があふれています。果たしてその健康情報は、本当に正しいのでしょうか。
例えば、「筋トレしたら、すぐプロテインを飲むと良い」とされています。しかし、胃の状態を調査すると、筋トレ直後は胃の活動が弱まり、消化効率は低下しています。また、アミノ酸など栄養素が血中に入っていくスピードも遅くなります。エネルギーを運ぶ血液が、筋肉などに集まっているためです。筋トレ後、30分ほどで通常の胃の働きに戻ります。筋トレ後の30分過ぎにプロテインを摂取するほうが効果的なのです。
行動と体内での現象を精査する
ほかにも甘みについて検証すると、甘みを感知した胃は活動が高まり、内容物が早く消化されることがわかります。胃に余裕ができるから、「デザートは別腹」で食べられます。人工甘味料と栄養を含むグルコース(ブドウ糖)で比較した場合、消化はグルコースのほうが効率的でした。ヒトの体は、きちんと栄養を感知しているのです。
近年は朝食をとらない人が増えています。長時間絶食したあとで昼食を摂ると、血糖値が急上昇します。すると、余分な糖質が活性酸素を発生させ、血管の内部を傷つけることがわかっています。これが長期間続くと脳梗塞や動脈硬化の要因となり得るプラークができます。そうなる前の予防が大切です。
エビデンスの蓄積が健康サポートを実現
現在は、20~30代の人たちが将来も健康でいられるための予防策が求められています。ただ、健康法は、「こうすればいい」という正解はありません。生活習慣や食事、運動のほか、体を使う仕事、座りっぱなしの仕事といった生活環境も人それぞれ違うからです。その人に合わせたオーダーメイドの健康法が必要となります。
そのために、日常的な行動が体内に与える影響を検証したエビデンスの蓄積が重要となります。そのデータをAIに搭載すれば、将来はAIがその人にあった適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
県立広島大学 地域創生学部 地域創生学科 健康科学コース 准教授 鍛島 秀明 先生
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