昔ながらの「在来カンキツ」を救え!

果物界の絶滅危惧種
昔は各地域で独自のカンキツ類が栽培され消費されていました。これらのカンキツを「在来カンキツ」と呼びます。最近では果物や野菜はおいしく食べやすいものが好まれる傾向にあるので、もともと地域で作られていたカンキツ類は、酸っぱい・種子が多いなどの理由から減少しつつあります。しかし、在来カンキツは単に食べ物というだけでなく、地域の文化を形作るものとして重要な存在です。その地域でどういったカンキツ類が分布しており、どういった経緯で誕生したか、さらに人間の食生活・文化にとっていかに有効かということを明らかにすることで、これらが改めて注目されることにつながります。
調査と分類が有効活用につながる
奄美大島の東側にある喜界島という島は、特にカンキツ類の栽培が盛んで、各家庭の庭にはさまざまなカンキツの木を植える文化が存在していました。在来カンキツは種類も多く、わかっているものだけでも数十種類ものカンキツ類が存在します。しかし、同じ種類のカンキツ類でありながら島ごとに名前が違ったり、同じ名前であっても違う種類だったりというケースがあるため、実は分類するのも複雑です。例えば健康効果があると近年注目を集めているシィクワーサーも、多数の種類が存在しているのです。そういったカンキツ類を地域ごとに調査して整理し、特性を調べることで有効活用へとつなげるのが狙いです。
実は健康にもいい在来カンキツ
最近は「機能性表示食品」など、内臓脂肪を減らしたりストレスを減少させたりする成分を含む食品が注目されています。そんな中、在来カンキツは一般的な品種よりも健康にいい成分が多く含まれていることもあります。おいしさや見た目の良さだけではない魅力を発信することで、在来カンキツの復興にもつなげることができます。実際に、喜界島では在来カンキツへの注目が高まっており、それらを使ったお菓子やお酒、エッセンシャルオイルやお茶などの商品も作られ始めています。
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先生情報 / 大学情報

鹿児島大学農学部 農業生産科学科 教授山本 雅史 先生
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