グローバルビジネスで問われる企業のコンプライアンスとは?
海外事業展開のリスク
「コンプライアンス」とは、企業が法令や倫理にのっとって適切に事業を行うことを指す言葉です。コンプライアンスを守ることは当然だと思われますが、残念ながら守られないケースもあるのが実態です。例えば企業が開発途上国や新興国へ進出し、発電所や鉄道といったインフラ事業を請け負う場合、現地政府の公務員から賄賂として金品を要求されることがあります。このような要求に応じることは違法だとして、先進国では法律を作り取り締まりを強化しています。しかし、リスクを承知で相手の要求に応じ、違法行為に及んでしまう企業は少なからず存在しているのが現状です。
なぜ違法行為に及んでしまうのか
日本の社会では、ルール厳守よりも「空気を読んで行動する」ような柔軟さが求められる傾向があります。そのため進出をしようとしている相手先の国で、取引において賄賂の授受が商慣習として成り立っているなら、違法行為とわかっていても受け入れてしまうケースが出てくるのです。しかし当然、違法行為を罰せられるリスクがあり、現地の社員が責任を負わされる可能性もあります。経営者の判断でこのような違法行為が行われているのなら、ビジネスを優先させるあまり現地の社員を危険にさらしていることになります。
日本企業に求められる意識改革
日本国内においても、金品の授受がないにしろ、政府の関係者と関係を構築してビジネスを円滑に進めようという意識が経営者に残っている場合があります。しかし本来、経営において重視すべきは消費者や従業員に価値を届けることで、コンプライアンスも守らなければなりません。欧米の社会には、消費者の利益やマーケットのルールをしっかり守り、社会に重要な価値を届けるべきだという意識が高まっています。政府との関係構築にばかり気を取られていると、国際競争力の低下にもつながりかねません。素晴らしい技術を持つ日本企業がグローバル市場で新たな価値を提供していくためにも、経営者には責任ある判断が求められています。
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先生情報 / 大学情報
麗澤大学 国際学部 グローバルビジネス学科 准教授 藤野 真也 先生
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