異文化コミュニケーションで大切なのは「適応」すること
異文化コミュニケーションの難しさ
海外で学んだり働いたりするとき、現地で円滑にコミュニケーションを取るためには、その国の言葉や文化、風習の違いなどを理解する必要があります。ただ、異文化コミュニケーションは言葉やジェスチャー、ルールなどを正しく理解すれば成り立つかといえば、そうではありません。難しいのは文化や宗教の違いなどを背景に、国によって自己表現や主張の仕方、程度に差があることです。そのような違いは日々のコミュニケーションから、相手との関わりの中で身につけていきます。このような経験を「異文化適応」といいます。
自分の当たり前を疑う
「郷に入れば郷に従え」という言葉があるように、外国で異文化に適応しようとすれば、母国で当たり前だった考え方や行動を変えなければならないこともあります。しかし外国語を使い、異国の文化や風習を踏まえてコミュニケーションするのは簡単ではなく、ストレスを感じることも多いのです。
そのため受け入れる側も、自分たちの考え方やルールを押しつけるのではなく、外国人のバックグラウンドや文化を理解し、配慮する姿勢が求められます。これも異文化適応の一つです。自分にとっての当たり前が、すべての人の当たり前ではない、ということを前提に、お互いに理解・協働していく気持ちが大切なのです。
多様な社会で重要なスキル
コロナウイルス感染症の問題などで海外との行き来が制限され、物理的な移動がむずかしくなりましたが、インターネットを通じて世界中の人とつながることは可能です。グローバルなコミュニケーションの可能性はこれまで以上に広がっています。また異文化コミュニケーションは国籍や民族の違いだけではなく、性別や年代、セクシュアリティ、障がいの有無など、さまざまな違いにおいて成り立つものです。自分とは違う文化、考えを持つ人ともストレスや不安なくコミュニケーションできるかどうかは、これからの多様性に富んだ社会を生きていくうえで重要なスキルとなるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
麗澤大学 外国語学部 外国語学科 准教授 高本 香織 先生
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