これからの生き方はどうなる? 社会学で考えるライフコース
将来、どんな人生を送る?
あなたは自分の将来についてどんなことを考えていますか。将来つきたい仕事に向けて努力している人もいれば、まだ具体的なイメージが浮かばない人もいるでしょう。今の交際相手と結婚したいと思っている人もいれば、そもそも自分が将来結婚するかどうかさえピンとこない人もいるでしょう。
「標準的ライフコース」の形成
一人ひとりが人生で歩む経歴や軌跡を、社会学では「ライフコース」といいます。日本では、1960年代の高度経済成長期に「標準的ライフコース」が成立しました。それは「学校卒業後に会社に就職し、やがて結婚し、男性は定年までその会社に勤め、女性は専業主婦として家事と育児に専念し、子どもが手を離れたらパートで働く」というものです。こうしたライフコースを歩むことが「標準的」で「幸せ」な生き方だと考えられるようになりました。
しかしこのライフコースは、あくまで経済が順調に成長していた、そして男女の性別役割分業が自明視されていた時代のものです。今では転職は珍しくなく、専業主婦の世帯よりも夫婦共働きの世帯の方が多数派です。そして、「幸せ」な生き方はこの形だけではないという意識も広がっています。
多様な生き方の実現と社会学
とはいえ今の日本社会でも、「標準的ライフコース」にとどまらない多様な生き方をしようとすると、壁がまだ存在します。子どもがいる女性が働こうとするとき、保育園の待機児童は大きな問題です。会社に所属しない働き方や結婚しない生き方を安心して選べる環境は、まだ十分に整っているとはいえません。さまざまな生き方が同等の価値をもつものとして尊重され選択できる社会は、まだ実現の途上にあります。
人々の生き方はどのような条件に左右されているのか、どのようなしくみを作れば多様な生き方が選びやすくなるのか。それらを考えるには、具体的なデータをふまえた上で、家族・労働・意識など多面的に社会をとらえる必要があります。社会学は、生き方をめぐる問題を考える時に力を発揮する学問なのです。
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帝京大学 文学部 社会学科 教授 久木元 真吾 先生
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