全員が経営者としての視点を持つ 日本的経営の強みとは?
全員参加! ボトムアップの経営論
企業経営といえば、経営者や役員が企業の判断のすべてに権限と責任を持ち、一元管理するトップダウン経営が一般的です。しかし、近年では新しい経営のスタイルとして、それぞれの部門・部署が裁量権を持ち、個別の企業の集合体のように動く「アメーバ(細胞)経営」を取り入れる企業も出てきました。すでに製造業や飲食業などで取り入れられていますが、この手法は福祉業界でも有効だと考えられています。現代の福祉業界の問題点としてよく挙げられるのは、賃金や待遇の悪さとそれに伴う離職率の高さです。その業界で働く人々の生活の安定を確保できなければ、利用者へのサービスの質にも影響が出る恐れがあります。
経営意識を備えた新しい福祉職員のモデル
アメーバ経営の考えは、現場で働く職員一人一人が経営意識を持ち、改善点やアイデアを全体に共有して反映させることで、組織全体を改善していくものです。経営上の目標を明確にして、自社の得意分野を求める層をターゲットとすることや、時間や人的リソースから優先順位を導き出して業務の改善を進められます。経営意識を持った創意工夫が働く人の環境改善へとつながり、待遇や離職率が改善された施設もあります。福祉に携わる仕事はその精神や技術が大切ですが、経営のセンスを持つことも必要なのです。
誰もが尊重され、不利益を受けない社会へ
少子高齢化が進み、福祉業界でも人材不足が問題となっています。近隣諸国からの人材確保も検討されていますが、現状では外国人労働者が就労した後のキャリア形成の支援が不十分という課題もあります。こうした支援を進めるためにも、経営センスとコンサルティング能力を持つ組織が増えていく必要があります。
経済学や経営学は、個人や企業の金銭的利益だけではなく、社会全体の利益につながる学問です。これらを活用して、働く人が不利益を受けない仕組みを作ることは、福祉施設の利用者だけでなく、福祉業界、ひいては社会全体の幸福につながっていくはずです。
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