講義No.13499 生物学

生殖細胞の謎を解き明かせ!

生殖細胞の謎を解き明かせ!

謎の多い生殖のメカニズム

動物の身体には、皮膚や筋肉、骨、神経などを作る体細胞と、卵子と精子という生殖細胞があります。卵子と精子が合体して受精卵となり、それが新しい生命として生まれ育つことはよく知られています。しかし、そのプロセスには未解明なところが多く残されています。例えば、卵子は成熟しなければ受精できませんが、卵成熟のメカニズムはまだわかっていません。性決定のメカニズムや、受精卵から体細胞と生殖細胞に分かれる仕組みなども明らかにされてはいないのです。

品質管理機構は?

人間の場合、卵巣にある多数の未成熟な卵子の一部だけが成熟して受精可能になります。成熟させる卵子を選ぶメカニズムも未解明なことの一つです。DNAが損傷した異常な受精卵が作られてしまうと、正常な次世代を生み出すことができなくなってしまうため、異常な細胞を排除して質の良い生殖細胞を選び出すことが重要です。しかしその選定の具体的な仕組みはわかっていません。最近になって、Myc遺伝子の発現低下が異常な生殖細胞の排除に関わることがわかりました。研究のために遺伝子組み換えを行ったショウジョウバエを使って観測した結果、通常はすべての細胞内にMycタンパク質が存在しますが、DNAが損傷した生殖細胞の中では無くなっていたのです。DNA損傷からMycの発現低下に至るメカニズムなどを解明することで、生殖細胞の品質管理機構を明らかにするために研究が進められています。

絶滅危惧種の保存にも

有性生殖を行う動物は、生殖細胞を作り、受精させることで連綿と生命をつないできました。生殖細胞の品質管理の研究は、そのメカニズムを明らかにして生命の不思議に迫ろうとするものです。基礎的な研究ですが、将来的には生殖補助医療に役立つことが期待されます。不妊の原因の一つである、卵子や精子の品質低下がなぜ起きるのかがわかれば、治療法の方針を立てることができます。畜産などの産業や絶滅危惧種の保存などに役立つ可能性も開けています。

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帝京大学 理工学部 バイオサイエンス学科 講師 太田 龍馬 先生

帝京大学 理工学部 バイオサイエンス学科 講師 太田 龍馬 先生

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発生生物学、バイオサイエンス

メッセージ

いろいろなことに興味を持ってほしいです。情報はインターネットなどいくらでも得られる環境がありますので、今自分が興味を持っていることだけではなく、幅広い情報に触れてみましょう。触れた上で、読み流すのではなく、少しでも興味があれば、それについて自分の中で考えて、自分なりの答えを持ちしょう。自分なりに答えを出していくプロセスを、できるだけたくさん積み重ねることが大切です。その中に強く興味を引かれることがあれば、そこをどんどん突き詰めていけば良いと思います。

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帝京大学 宇都宮キャンパスは栃木県宇都宮市の北西部の高台にあるキャンパスで、理工学部の4学科(機械・精密システム工学科、航空宇宙工学科、情報電子工学科、バイオサイエンス学科)をはじめとして、医療技術学部柔道整復学科、経済学部地域経済学科が開設され現在は文系・医療系・理工系を擁するミニ総合キャンパスとなっております。それぞれの学問領域で交流を図りながら各分野のスペシャリストとして、将来、さまざまな分野の核として、地域に貢献できる人材を育成します。