「心のメカニズム」を学べば合理的な思考・行動パターンが身につく
身体の状態まで変化させる「心」の不思議
緊張して汗ばんだり、顔がまっ赤になったりしたことはありませんか。心と身体には深い関わりがあり、例えば、ひどく落ち込んだり傷ついたりしたことが、身体の状態や行動に大きな影響を及ぼすことも珍しくありません。そうした「心のメカニズム」を、科学的に解明しようとする学問が「心理学」です。その中でも「臨床心理学」は、日常のささいな困りごとから医療的な支援が必要な問題、さらには心身の健康の増進まで、幅広い事象を対象に、そのメカニズムや効果的な支援法に関する研究を行っています。
カウンセリングのノウハウだけではない
心理学と聞くと、カウンセリングのノウハウを学ぶ学問だとイメージする人もいるかもしれませんが、実際には、目には見えない「心」について、実験、調査、観察、面接などさまざまな方法を用いてデータの収集と分析を行い、仮説の検証を通じて、心のメカニズムについて考察する学問なのです。心のメカニズムを学ぶことで、カウンセリングのように他者の「心の健康」をサポートできるだけでなく、自分自身の考えや行動を客観的に観察し、合理的な思考パターンを養うこともできます。
訓練で忘れ物の回数を減らせるかも
昨今、さまざまなメディアが発達障がいについて取り上げるようになりましたが、その理解や支援においても、心理学のアプローチは重要な役割を果たしています。誰しも、「忘れ物をしてしまった」「約束の時間に遅れてしまった」などの不注意な失敗をした経験があるでしょう。私たちは「ワーキングメモリ」という脳内の認知機能によって、行動の手順や所用時間などの情報を処理しています。忘れ物が多い、約束の時間を守れない、片づけられないといった失敗の中には、努力不足ではなく、このワーキングメモリが上手に機能していないために起きる場合があります。このような場合に、臨床心理学の専門家と一緒に、カウンセリングやトレーニングをすることによって、認知機能が改善する可能性が高まることが見込まれています。
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先生情報 / 大学情報
広島修道大学 健康科学部 心理学科 教授 蓑﨑 浩史 先生
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