「軸足は地元に、目線は世界へ」~海外の日本食ブームとお米~
日本の農業は転換期!?
日本の農業は、転換期を迎えていると言われています。そのひとつが海外進出です。日本の企業や農業者が海外に進出し、農産物の栽培指導や生産管理を行って成果を上げているのです。
例えばシンガポールには、数多くの日本食レストランがあり、日本国内と同じ「ジャポニカ米」の提供にこだわる店が少なくありません。日本産のジャポニカ米は高価なので、カリフォルニア産やオーストラリア産が長く使用されてきましたが、近年になってベトナム産ジャポニカ米の使用が増加しています。実は、シンガポールで使用されているベトナム産ジャポニカ米の一部は、日本の企業や農業者がベトナムに進出し、日本式のやり方で生産しているものなのです。
安価でおいしいベトナム産ジャポニカ米
ベトナムは農業国で、もともと「インディカ米」という細長い品種を作っていました。そこに、日本の企業や農業者が進出し、ジャポニカ米の栽培指導や生産管理を行って、生産量と品質の向上を実現しました。安価でおいしいベトナム産ジャポニカ米は、シンガポールの日本食レストランで喜ばれ、ベトナムの新たな産業として成長しています。
これまで、日本の農業者が海外で活動するときは、公的機関による開発途上国支援という形が一般的でしたが、現在はビジネスとして展開し、成功する事例が生まれています。
農業の海外進出と日本食ブーム
シンガポールにおけるベトナム産ジャポニカ米の成功の背景には、海外における日本食ブームがあります。日本食ブームでジャポニカ米の人気が上がり、ニーズが増えているからです。これは、野菜や畜産物にも当てはまります。日本では、全国各地に多くの優れた農畜産物があります。これらの農畜産物も、海外に進出し、成功するチャンスがあるのです。
「軸足を地元に据え、目線を世界に向ける」ことで、日本の農業の新たな発展につながる可能性が広がっています。その状況を研究・調査し、よりよい成長に貢献することも、農学の使命のひとつなのです。
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先生情報 / 大学情報
高崎健康福祉大学 農学部 生物生産学科 准教授 齋藤 文信 先生
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