講義No.10616 教育

「生きたことば」が育つ国語の授業とは?

「生きたことば」が育つ国語の授業とは?

授業中の発言は子どもの本心とは限らない

教科書を使って進める国語の授業では、教師の発問に対する答えが1つとは限らないことがよくあります。例えば物語から受け取るメッセージなどは、いろいろあっていいはずです。ところが子どもたちは、目の前の先生が「教えようとしていること」に添うように発言をすることがあります。「正しいことを言わないといけない」「違ったことを言うと周りからどう見られるか」などを考え、自分の思った通りに話すことをためらってしまうのです。教師は、子どもたちが抱える「言いづらさ」と向き合うことを忘れてはなりません。

授業の中に対話の場をつくる

教師の意図した内容と異なることを答えたからといって、その子どもは学びが劣っているわけではありません。1人だけ答えが違ったとしても、否定したり切り捨てたりせずに、きちんと受け止めてあげることが必要です。そして、「なぜそう思ったのか」を、その場で聞き出してあげるのです。先生の寛容な態度は子どもたちにも伝わり、子ども同士でも「実は自分もこんなふうに思っていた」と話しはじめます。発言が正しいかどうかではなく、疑問に感じたこと、違うと思うこと、ことばにしにくいことなどを、授業の中で話せる場をつくることが大切です。

考えの途中を話しながら、共にことばを紡いでいく

考えの途中で発することばには、本心がたくさん含まれています。しかし、考えがまとまらないと言いにくいという子もいます。ノートに書いたことを読み上げれば安心という子もいます。「考えの途中でもいいですよ」と促しても、不確かなことばに対する周りの反応が気になって、うまくことばにできないのです。
不確かさに寄り添う対話をすれば、自分と同じように感じている他者の存在を知り、多様な考えや価値観に出合えます。それらを認め合うことを学び、子どもの「生きたことば」も育ちます。考えの途中を話しながら、共にことばを紡いでいくことはとても楽しいのだと、子どもに体験させることも国語の授業の大切な役割なのです。

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先生情報 / 大学情報

玉川大学 教育学部 教育学科 准教授 山田 深雪 先生

玉川大学 教育学部 教育学科 准教授 山田 深雪 先生

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国語教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は実際に学校の教壇に立った経験から得た、子どもとともに学び、発見することの楽しさや充実感を教えていきたいと思っています。
子どもたちはいつだって、一緒に楽しく生活し、勉強を教えてくれる教師を待っています。子どもたちの、素直であたたかいことばは、教師との距離を縮め、刺激や喜びを与えてくれます。頑張って準備した授業が思うように進まないこともありますが、むしろそこからの方が学ぶことはたくさんあります。今は「教師の卵たち」に関わることに生きがいを感じています。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

玉川大学に関心を持ったあなたは

―8学部17学科がワンキャンパスに集まる総合大学!―「全人教育」の理念のもと“「人」を育てる”ことをめざす玉川大学は、8学部17学科の学生がワンキャンパスで学んでいます。61万㎡の広大な敷地には、各学科での深い学びに加え、学部学科の垣根を越えた学びの環境を用意。学外での体験型学修や、「使える英語力」を身につける「ELFプログラム」などの独自プログラムも実施しています。また、2020年4月に利用開始した「STREAM Hall 2019」では、農・工・芸術学部が学部の枠を越えた学びを展開します。