都市の緑を活かし、つくる。未来のための公園づくり
みんなが使いたくなる緑豊かな公園
私たちが住む都市には、緑を楽しめる公園や緑地があります。都市に公園や緑地を計画・設計は、今まで住人1人当たりの公園面積や、地域の緑被率を基準に考えられてきました。しかし、日本は少子高齢化、人口減少傾向にあり、気候変動に伴う温暖化や豪雨災害が起こっています。誰も使わない公園を増やすのではなく、地域の自然を活かしつつ、一人ひとりの満足度を高めるような、みんなが使いたくなる公園づくりを考える必要があります。そのために、未来に向けた都市の緑地計画に関するさまざまな取り組みが行われています。
市民が関わる公園づくりと環境・防災教育
都市の緑にはさまざまな役割があります。例えば、河川公園では、水辺の植物や生き物と触れ合い、天候による水位の変化など川の様子を身近に感じることで、人々の環境意識や防災意識を高めることができます。また、非常時は「かまど」になるベンチや、緊急避難場所になる東屋(あずまや)、非常用のトイレなどを備えた公園もつくられています。こうした新しい公園をつくる時や、その後の管理運営に市民が関わる取り組みが行われるようになっています。みんなが使いたい公園づくりに関わることで、自分ごととして考え、満足度の高い公園づくりに繋がるという効果もあります。
都市も人々も健康にする緑づくりへ
今までの身近な公園では、ブランコ・すべり台・砂場など子ども向け遊具の設置が基本でした。しかし、少子高齢化に伴い、大人向けの健康遊具や洋式のトイレが求められています。夏の暑さや豪雨のため、屋根のある休憩場所の設置希望も増えています。近年はコロナ禍の影響から、癒やしや交流の場としても再評価されています。さらに公園・緑地には、都市気象の緩和、雨水の貯留浸透、生物多様性保全などグローバルな環境問題の解決に資する重要な役割もあります。今ある公園や緑地を活かしつつ、時代に合わせて再生・更新する都市づくりの考え方が求められています。「ランドスケープ学」はその考え方の基礎を学ぶ学問です。
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先生情報 / 大学情報
千葉大学 園芸学部 緑地環境学科 准教授 竹内 智子 先生
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環境造園学、緑地環境学、緑地計画学先生が目指すSDGs
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