便利な暮らしと食育の両立に向けて
すべてが手作りじゃなくてもいい
最近、食品に関する事件が多い中、「食育」が注目を浴びています。食育と聞くと有機野菜を使ってすべて手作りの料理を毎日作らなければならないというイメージを持つ人も多いことでしょう。実際、食育が叫ばれ始めた頃は農作物の生産者側からの目線が中心で、冷凍食品や出来合いの惣菜を敵視するような風潮もありました。
しかし、そのような時代を巻き戻すかのような取り組みは現実的ではありません。女性の社会進出も進む中で、食事の準備にかけられる時間も少なくなってきています。便利な加工食品に頼りながらでも、栄養のバランスや家族で食卓を囲む頻度もきちんと考えていれば問題ありません。「体に良くない」とのイメージがつきまとうファストフードでさえも、食べ物自身に問題があるのではなく、そればかりに偏った食習慣に問題があるのです。どんな食べ物でもそればかり食べていれば体に良くないのは当たり前。何を食べるにしてもあくまでバランスが大事というわけです。
食育に取り組む企業
食に関する正しい知識を提供するために、食品を提供する企業自身が学校での食育に参加する例が見られるようになってきました。大手ファストフードチェーンの“マクドナルド”も、食育に関するDVDや冊子を全国の学校に配布する活動などをしています。
また、扱う製品の特性を生かした授業を展開する企業もあります。ハムやソーセージで有名な“日本ハム”は、ソーセージ作りを体験することで食について考えてもらう試みをしており、子どもたちは楽しみながら学んでいるようです。
もちろん、こうした特別授業ばかりでなく、普段授業を教えている先生自身が食育に関する知識を身につけ、日ごろから子どもたちに伝えていくことも大切です。これからは、企業と学校をうまくつなぎ、かつ教員研修も行うような、NPOなどの外部組織の必要性が高まっていくことでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。