講義No.14428 看護学

あかちゃんの快適で、安全な睡眠環境について考える

あかちゃんの快適で、安全な睡眠環境について考える

あかちゃんの睡眠サイクル

睡眠は、子どもの発育にとって非常に重要な意味をもっています。あかちゃんは私たちのように夜眠って、朝起きるという生活サイクルはもっていません。生後間もない頃は3時間おきに目を覚まして再び眠るというサイクルで、1日のうち20時間近く眠っていることもあります。生後3カ月ぐらいになると昼夜の区別がつきはじめて、1歳ぐらいには夜に眠り朝に目を覚ますようになるなど、社会生活に適応できる生活サイクルを段階的に身につけていくのです。

睡眠環境

あかちゃんは体温調節機能が未熟なので、暑すぎず、また寒すぎて風邪をひくこともない、快適な睡眠環境が不可欠です。工学や家政学の分野では、大人がどんな寝具を使い、どんな服装をすれば良く眠れるのかという研究がこれまでにも行われていますが、言葉を話せないあかちゃんの睡眠環境に関してはまだわかっていないことが残されています。複数の家庭に協力を依頼して、赤ちゃんの布団の中にセンサをつけて布団の内部の温度や湿度を数日間測定したところ、温度は大人よりも1℃ほど高く、また寝具の材質によっては湿度が高まる、といったことがわかってきています。

睡眠の安全

アメリカの小児科学会が2016年に出した勧告では、あかちゃんを温めすぎることは、あかちゃんが眠っている間に突然死してしまう「SIDS(乳幼児突然死症候群)」のリスクを高めるとされています。また、うつぶせ寝もSIDSのリスクを高めるということもわかっており、あかちゃんの睡眠の安全のために、適切な睡眠環境が不可欠です。不規則に目を覚ますあかちゃんの要求に応え、さらに事故がないように気を配ることは、子育て中の保護者にとって気が休まらない側面でもあります。こうした負担を軽減する意味でも、客観的な指標を取り入れながら、あかちゃんの快適で安全な睡眠環境について研究することには、大きな意義があるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

和歌山県立医科大学 保健看護学部 保健看護学科 教授 池田 理恵 先生

和歌山県立医科大学 保健看護学部 保健看護学科 教授 池田 理恵 先生

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臨床看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私たちが育成している助産師は、あかちゃんの誕生に関わる、女性の一生を支える仕事です。出産は人生の原点であり、とてもダイナミックなできごとです。その瞬間に立ち会い、感動を共有できる点は助産師ならではの醍醐味(だいごみ)です。また、その後の育児においても助産師の力は必要とされます。あかちゃんや、そのあかちゃんを育てていく女性や家族、さらにはライフステージのさまざまな時期にある女性を支援できる力を、ぜひ私たちとともに学び身につけてほしいです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

和歌山県立医科大学に関心を持ったあなたは

本学は、和歌山県唯一の公立大学で、医学部、保健看護学部、薬学部の3学部を擁する医療系総合大学です。各学部での専門教育に加え、学部の垣根を越えたケアマインド教育等を実施し、高度医療人の育成に力を注いでいます。
また、それぞれの魅力あふれる3つのキャンパスは、いずれも和歌山県の北端部に位置し、新大阪駅や関西国際空港からもアクセスが良く、全国から学生が集まってきています。
これから更なる発展を遂げる本学で、一緒に医療の未来を創っていきましょう。