あかちゃんの快適で、安全な睡眠環境について考える
あかちゃんの睡眠サイクル
睡眠は、子どもの発育にとって非常に重要な意味をもっています。あかちゃんは私たちのように夜眠って、朝起きるという生活サイクルはもっていません。生後間もない頃は3時間おきに目を覚まして再び眠るというサイクルで、1日のうち20時間近く眠っていることもあります。生後3カ月ぐらいになると昼夜の区別がつきはじめて、1歳ぐらいには夜に眠り朝に目を覚ますようになるなど、社会生活に適応できる生活サイクルを段階的に身につけていくのです。
睡眠環境
あかちゃんは体温調節機能が未熟なので、暑すぎず、また寒すぎて風邪をひくこともない、快適な睡眠環境が不可欠です。工学や家政学の分野では、大人がどんな寝具を使い、どんな服装をすれば良く眠れるのかという研究がこれまでにも行われていますが、言葉を話せないあかちゃんの睡眠環境に関してはまだわかっていないことが残されています。複数の家庭に協力を依頼して、赤ちゃんの布団の中にセンサをつけて布団の内部の温度や湿度を数日間測定したところ、温度は大人よりも1℃ほど高く、また寝具の材質によっては湿度が高まる、といったことがわかってきています。
睡眠の安全
アメリカの小児科学会が2016年に出した勧告では、あかちゃんを温めすぎることは、あかちゃんが眠っている間に突然死してしまう「SIDS(乳幼児突然死症候群)」のリスクを高めるとされています。また、うつぶせ寝もSIDSのリスクを高めるということもわかっており、あかちゃんの睡眠の安全のために、適切な睡眠環境が不可欠です。不規則に目を覚ますあかちゃんの要求に応え、さらに事故がないように気を配ることは、子育て中の保護者にとって気が休まらない側面でもあります。こうした負担を軽減する意味でも、客観的な指標を取り入れながら、あかちゃんの快適で安全な睡眠環境について研究することには、大きな意義があるのです。
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先生情報 / 大学情報
和歌山県立医科大学 保健看護学部 保健看護学科 教授 池田 理恵 先生
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