病気とともに生きる思春期の子どもと親のより良い生活をめざして
病気と生きる思春期の子どもと親がたどる軌跡
生まれた時から、あるいは成長する中で病気を抱える子どもは、薬を飲むなどの療養法に取り組んでいます。そして、親も子どもと一緒に療養法に取り組む生活を送っています。子どもが思春期に至る中で、子どもと親はどのように生活に向き合い、成長していくのでしょうか?
思春期の子どもに関わる看護師は、双方の考えを知り、その軌跡をともにたどる必要があります。そこには、体験した人だからこそわかる世界があるからです。
薬に対する認識の違い
例えば、親と子どもでは薬に対する認識が違う場合があります。親にとって薬は子どもが幼い時から飲んでいて、飲む必要性をわかっていると捉えていますが、子どもは飲むように言われてきたもので、お腹がいっぱいになると飲みたくないというお菓子感覚で薬を捉えることも少なくありません。このような親子のズレが少しずつ生じていきます。
親子のズレが拡大しやすいのが思春期です。思春期の子どもは他の人と関係を構築する中から自分らしさを見つけていく段階です。そのため、病気で薬を飲むことは他の人と違うことであり、その理由を自問自答する中で、時に薬を飲まずに身体が辛くなる痛みに直面します。親は自分を助けてくれる存在ですが、子どもは自立の意識が芽生える中で、心の痛みにも直面していきます。
親子それぞれに痛みを共鳴して新たな関係へ
親は、子どもの反抗期も重なり、何かに当たったり無口になったりする様子に不安を強く感じます。このような親子の間に生じる思いのぶつかり合いは心の痛みを伴います。この痛みを互いに理解し共鳴していくことにより、親子の軌跡が大きく転換していきます。親子はそれぞれ独立した存在でありながら、互いに尊重した新たな関係になります。
このような思春期の親子の軌跡は共通する点ですが、たどり方は親子によって特徴があります。したがって、看護師は、信頼関係を築きながら親子の軌跡をともにたどり、その中から支援や援助を考えていくことが重要になるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
高知県立大学 看護学部 看護学科 教授 高谷 恭子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
小児看護学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?