講義No.10671 看護学

病気とともに生きる思春期の子どもと親のより良い生活をめざして

病気とともに生きる思春期の子どもと親のより良い生活をめざして

病気と生きる思春期の子どもと親がたどる軌跡

生まれた時から、あるいは成長する中で病気を抱える子どもは、薬を飲むなどの療養法に取り組んでいます。そして、親も子どもと一緒に療養法に取り組む生活を送っています。子どもが思春期に至る中で、子どもと親はどのように生活に向き合い、成長していくのでしょうか?
思春期の子どもに関わる看護師は、双方の考えを知り、その軌跡をともにたどる必要があります。そこには、体験した人だからこそわかる世界があるからです。

薬に対する認識の違い

例えば、親と子どもでは薬に対する認識が違う場合があります。親にとって薬は子どもが幼い時から飲んでいて、飲む必要性をわかっていると捉えていますが、子どもは飲むように言われてきたもので、お腹がいっぱいになると飲みたくないというお菓子感覚で薬を捉えることも少なくありません。このような親子のズレが少しずつ生じていきます。
親子のズレが拡大しやすいのが思春期です。思春期の子どもは他の人と関係を構築する中から自分らしさを見つけていく段階です。そのため、病気で薬を飲むことは他の人と違うことであり、その理由を自問自答する中で、時に薬を飲まずに身体が辛くなる痛みに直面します。親は自分を助けてくれる存在ですが、子どもは自立の意識が芽生える中で、心の痛みにも直面していきます。

親子それぞれに痛みを共鳴して新たな関係へ

親は、子どもの反抗期も重なり、何かに当たったり無口になったりする様子に不安を強く感じます。このような親子の間に生じる思いのぶつかり合いは心の痛みを伴います。この痛みを互いに理解し共鳴していくことにより、親子の軌跡が大きく転換していきます。親子はそれぞれ独立した存在でありながら、互いに尊重した新たな関係になります。
このような思春期の親子の軌跡は共通する点ですが、たどり方は親子によって特徴があります。したがって、看護師は、信頼関係を築きながら親子の軌跡をともにたどり、その中から支援や援助を考えていくことが重要になるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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高知県立大学 看護学部 看護学科 教授 高谷 恭子 先生

高知県立大学 看護学部 看護学科 教授 高谷 恭子 先生

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メッセージ

高校時代はいろいろなことに興味を持ってほしいです。私は、陸上部で短距離をしていました。走ると無心になれるのが好きでした。また、中学のときに友だちと一緒にロックバンドを組み、高校最後の思い出に会場を借りてライブをしたこともあります。このような経験は、今の仕事に直接関係はありませんが、自分の人格形成に役立ったと思っています。
もしあなたが医療分野に興味を持ったなら、ぜひ看護学について一緒に学び、研究しましょう。看護学は発展している分野なので、さまざまな研究テーマを発見できると思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

高知県立大学に関心を持ったあなたは

高知県立大学は、文化学部、看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部の4学部で構成しています。高知県は全国と比較して、高齢化で10年、人口減少で15年も先行しています。少子高齢化社会や南海トラフ地震対策など山積する課題を乗り越えて、未来の社会をどう形成するかに、学生と教職員は真剣に取り組んでいます。全学生が地域で活動し、地域の人々とともに学びあう教育に力を入れており、卒業後には、学部で身につけた専門知識を生かして地域で活躍できる人材となることをめざしています。