学割は実は企業のためだった? 経済学で見る社会の実態

学割は実は企業のためだった? 経済学で見る社会の実態

学割は学生のためではない

映画料金、運賃などのサービスには「学割」があります。これは学生のためのものなのでしょうか? 実は企業は自分たちの利益を最大化するために学割を行っているのです。もし映画を一律料金にすれば、お金に余裕がある人は映画館に来ますが、学生は控えるでしょう。しかし、学割を設定すれば学生も来るようになります。学割によって映画を見る学生が割引分を上回る人数になれば、利益は増していきます。

企業の利益が社会の利益になる

消費者をグループで価格分けするこのような戦略は、ほかにも行われています。例えば、航空運賃では早く予約すると安くなります。早くから予約可能な旅行客は安くなりますが、それが難しいビジネス客は通常の運賃を払うことになります。タクシーにも夜間割増料金があり、ほかの公共交通機関も使える時間帯である、昼間の客の方が安く乗車することができます。このように、企業は消費者の状況に応じて売り上げを追加することができるのです。
こう見ると、企業は利益ばかり追求する冷徹な存在に見えますが、決してそれだけではありません。映画であれば、文化を楽しむ人が増える、航空運賃であれば利便性を多くの人が享受できるといった、社会の価値向上に貢献しているのです。

旧来の経済学を補う「行動経済学」

このように、経済学は人々を「合理的に行動する存在」と見ています。しかし、それだけでは経済を理解できないことが認識されるようになりました。例えば、宝くじは大金が当たる確率はものすごく低いのに、たくさんの枚数を買う人は多くいます。こうした行動は、旧来の経済学では理解できません。このような非合理的な事象を理解しようとするのが「行動経済学」です。行動経済学では、人間の考え方のクセに注目します。宝くじであれば、当たりが出る確率を実際よりも高く見積もってしまうというものです。このような人間の心理的なクセを理論化することで、これまでの経済学と現実とのズレを修正しようという研究が進んでいます。

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大阪経済法科大学 経済学部 経済学科 准教授 藤田 峻 先生

大阪経済法科大学 経済学部 経済学科 准教授 藤田 峻 先生

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経済学、行動経済学

メッセージ

経済学というと「お金に関する学問」と考えている人が多いかもしれません。しかし、経済学は数学を利用した理論を使って「社会全体を科学する学問」です。お金はその一部であって、世界、国、地域、人間関係、個人とさまざまな対象を含んでいます。また、国ごとの交渉をいかに行うか、景気が悪いのはなぜか、過疎化をくい止めるにはどうすればいいかといった具体的な問題を考えます。
経済学は社会のいろいろなところに入口があります。あなたにもぜひ、高校時代にそんな入口を見つけてほしいです。

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大阪経済法科大学では、学生一人ひとりが目標や進路に応じて経済学・法学の専門知識を体系的・効率的に学ぶことができるよう、コース制を導入。また、他学部科目を最大30単位認定する「経法相互乗り入れ」を実施。経済と法律を組み合わせて学ぶことが可能。さらに難関試験に向けた四年間一貫指導を行う「Sコース」(受講料無料)や、多彩な「資格講座」などを開講。こうした教育システムを活用して、有名・優良企業をはじめ、法科大学院・公務員など多彩な分野に合格者を輩出しています。