多文化共生社会とジェンダーギャップ 世界の中の日本を知る
多様な人が互いを理解し合う
日本に定住・永住する外国人が増えています。少子高齢化に伴う労働者人口の減少を背景に、国も外国人労働者の受け入れを進めており、地域における「多文化共生社会」の実現がますます重要になっています。
多文化共生とは、総務省が「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義しています。
「外国人×女性」の複合差別
多文化共生社会に向けて、差別の解消は重要です。日本にはジェンダーギャップの問題があり、国籍・人種と性別との複合差別を受ける外国人女性も少なくありません。複数の差別の要素が複雑に絡み合って影響が増すのです。
世界経済フォーラム発表の「ジェンダーギャップ指数2024」において、日本は146カ国中118位でした。各国の男女格差を「政治」「経済」「教育」「健康」の4分野でスコア化したもので、日本は2000年代からずっとG7の中で最下位、アジアの中でも下位という状況が続いています。
異文化理解はまず自国の理解から
日本は「政治」「経済」のスコアが非常に低く、実際に女性の議員や企業管理職の数が少なく、なかなか増えません。数を増やすには、例えば「議席の何割を女性が占める」などとルール化・制度化する方法もあります。しかし、それだけで本当にジェンダーの問題は解決するでしょうか。男女格差には、日本に古くから根づく「男性は外で働き、女性は家庭を守る」といった「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」が大きく影響しています。一人一人の、そして社会全体の意識を変えていくために何が必要かも考えなくてはなりません。
異文化理解のためには、外国語や外国の文化・習慣を学ぶとともに、日本の文化や社会、考え方などを世界的な視点で多面的に学び、日本が抱える問題と向き合うことが大切です。他者の理解は、自分の理解から始まるのです。
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