第四次産業革命、進行中!
産業の歴史を振り返る重要性
私たちの現在地を知り、未来の方向性を探るには、歴史を振り返ることが重要です。サプライチェーンの進化を考えるうえで注目したいのが、4つの産業革命です。
「動力革命」「電力革命」「デジタル革命」
第一次~第三次産業革命によって、私たちは大量に物を作り、運ぶ技術を獲得しました。第一次産業革命は蒸気機関の発明によって機械化と大量輸送手段を獲得し、動力革命と呼ばれました。次は電力革命と呼ばれ、重化学工業が発展し、大量生産によって自動車が普及しました。
そして20世紀後半、第三次であるデジタル革命が起こりました。IC(集積回路)が開発され、コンピュータや通信技術が発達し、精緻なものづくりが実現しました。「ジャスト・イン・タイム」のようなフレキシブル生産体制がその代表です。
けれど社会は大量消費から個性を重視し多様化した消費に変貌していました。一部の企業はマス・カスタマイゼーション生産によって追随しようと試みましたが、基本的には大量廃棄をともなう大量生産方式だったのです。
第四次産業革命で進んでいること
しかし21世紀に始まった第四次産業革命は、生産の在り方を大きく変えようとしています。その中心技術は、センサなどでモノの情報をリアルタイムに収集するIoT(モノのインターネット)、収集した大量のデータを処理して、人間の代わりに判断する人工知能(AI)です。
これらの技術を駆使し、進化した物流能力と組み合わせることで、サプライチェーンの課題を解決する糸口が見つかり始めました。IoTとAIで個人の好みを瞬時に把握・推測することが可能になりました。3Dプリンターが出現し、生産における金型作成の時間短縮と低価格化を実現し、モノづくりのスピードを格段に向上させました。その結果、「ほしい人に、ほしいものを、ほしい時にほしい量だけ」作って届けることが実現しつつあります。これは人の働き方を変え、廃棄削減による環境保護にも貢献します。情報管理など課題も多くありますが、革命は現在も進行中です。
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先生情報 / 大学情報
大阪学院大学 商学部 商学科 准教授 葛西 恵里子 先生
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