スポーツの価値や考え方は、実は意外なものである
円滑な活動の維持に欠かせない概念
プレーヤーとしてスポーツを行う際、改めてどんなプロセス、役割分担が必要になるのかを考える機会は、そう多くないかもしれません。プロスポーツ、アマチュアスポーツを問わず、トレーニングや試合を行うにあたって、プレーヤーがプレーに集中し、チームが円滑に活動するために必要となる営みが、「スポーツマネジメント」という概念です。
スポーツマネジメントという学術分野が盛んになり体系化され始めたのは、1993年のJリーグ発足に端を発します。観客動員数の詳細、さらに収益などを含めた財務会計を公開するなど、それ以前のプロスポーツに比べ、大幅な可視化を進めました。それにより学問として取り扱いやすい対象となり、研究が加速度的に進みました。
スポーツマネジメントの役割
スポーツマネジメントの役割は、管理、意思決定にあります。スポーツでは練習時間、場所、対戦相手も必要になりますし、気候に合った時間、アクセスのよい場所、自分たちに合った対戦相手の選定も重要です。誰がその調整に動き、獲得するのかの役割分担を的確に行うこと、数ある選択肢から最適なものを模索することは、活動を円滑に進め、競技力向上を図るための必須条件です。
ゲーム中の采配もマネジメント
また、指揮官の指示や采配もスポーツマネジメントに含まれます。野球でいえば甲子園大会での5打席連続敬遠やMLBでの大谷翔平選手への申告敬遠、サッカーではロシアW杯グループリーグで日本代表がリードされながらも「負け逃げ」を選択した試合については、勝利やその先にあるもっと大きな成功のために選んだ戦略であり、スポーツマネジメントにおいてはなんら批判されるものではありません。
このように、社会では「正々堂々としていない」と受け止められるケースでも、別の観点に立てばまっとうな手段となります。スポーツにおける倫理観は社会におけるそれと違うこともスポーツマネジメントを学ぶことで知り得る価値観の一つです。
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先生情報 / 大学情報
鹿屋体育大学 体育学部 スポーツ人文・応用社会科学系 教授 関 朋昭 先生
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