次世代型材料のカギは「プルプル」にあり!
身の回りのプルプル、モチモチを探せ!
ゼリーにグミにタピオカ……、共通点はなんでしょうか。実は、どれもプルプル、モチモチした柔らかい感触だということです。このような感触は「ゲル化」することによって生じています。ゲル化とは、ひも状の高分子が網目状に集まってその中に水などの溶媒を含んでいる状態のことです。ひも同士が弱い結合でつながっているので、力を加えたり温度を変えると、大きくなったり固まったり、元に戻ったりすることが、化学により明らかになっています。高分子だけでなく、低分子もネットワークを作って溶媒を含んでゲル化します。家庭用の廃油を固める商品は、このゲルの機能が応用されています。
ゲルの研究者は、材料ハンター!
ゲルの材料としての研究が盛んになったのは1980年代からです。それまでは、単なる物質ととらえられていたものがゲル化するとわかり、「役に立つ材料になる!」と関心が集まりました。たくさんの化合物の中からゲル機能のあるものを見つけ出す研究は、まるでハンターさながらです。開発のスピードは速く、次世代の新材料創出への期待が高まっています。例えば、衣服ではゲル状のシルクを使った新感覚の洋服が作れるかもしれませんし、医療の分野では、ゲル状の注射薬が開発されて体内により吸収されやすくなるかもしれません。
固くて当たり前が、当たり前でなくなる?!
現在、進められている研究の一つに、電気が流れるゲルの開発があります。電気を流すものといえば金属ですが、金属は固くて形を変化させることは困難です。ゲル化できれば、どこにでも合う形に自在に変形させることができ、接触が難しかった部分にも電気が届くようになります。電気が流れる繊維や電気が流れるクリームなどに発展していく可能性もあります。柔らかくて形が変わるというのは、一見、欠点のようですが、使い方によっては素晴らしいメリットでもあるのです。材料の化学を上手に使うことで、これまで固くて当たり前だったものが、柔らかなものにどんどん変わっていくかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
奈良女子大学 工学部 工学科 准教授 大背戸 豊 先生
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高分子化学、有機材料化学先生が目指すSDGs
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