時代によって変化する「カフェ」の役割

時代によって変化する「カフェ」の役割

カフェの発祥はトルコ

現代的なカフェの原型は16世紀半ばにオスマン帝国のイスタンブールにできたコーヒー店だといわれています。当初は、道端で飲むような安価なコーヒーを提供する店でした。それが広まっていくと、安いコーヒーだけではもうからないと考えた経営者たちは、店内でさまざまな趣向を凝らした催しを開くようになります。民衆の中で、コーヒー店は影絵芝居や踊りなど、さまざまなアミューズメントを集めた場として発展し、世界中に広まっていきました。

カフェが恐れられていた時代も

実は、「フランス革命」の発端は、バスティーユ牢獄近くのカフェで行われていた、人々の議論が発展したものだったといわれています。当時のフランスのカフェは、コーヒーを飲むだけでなく、人々が集って議論を交わして世直しの準備をする社会的な場としての役割を果たしていたのです。オスマン帝国でも、カフェは庶民にとっては楽しい場でしたが、政府からは「コーヒー店禁止令」が何度も出されていました。為政者にとっては人が集うだけでなく、意見を交わし不穏な世論が形成される危険性がある場だと考えられていたのです。コーヒーに付随してつくられた「カフェ」という空間に通う人々が文化を生み出し、果ては国を動かすほどの影響を与えた時代もあったのです。

カフェ文化の発展と可能性

その後、カフェは世界でさまざまな発展を経て、今もなお私たちの生活に根付いています。なかでも日本は、世界で最も多くの業態を持つ「カフェビジネス大国」となりました。カフェは明治時代に銀座で登場したのを皮切りに全国に広まりました。そして、昭和時代にロシア民謡を歌い盛り上がった「うたごえ喫茶」がのちのカラオケになり、貸本屋と喫茶店が結びついてマンガ喫茶になるなど、カフェを軸とした新業態が現れました。近年では、メイド喫茶などのコンセプトカフェも登場しています。カフェは「社交の場」という本質を維持しつつも、同好の士が集うコミュニティスペースへと変化してきています。

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大阪大学 外国語学部 外国語学科 トルコ語専攻 准教授 宮下 遼 先生

大阪大学 外国語学部 外国語学科 トルコ語専攻 准教授 宮下 遼 先生

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先生が目指すSDGs

メッセージ

18歳になると選挙権もあり、さまざまな面で大きな社会的責任が付与されます。高校生のうちは失敗を恐れず何でも試してみることをお勧めします。「部活だけ」「勉強だけ」など何か1つに熱中するのもいいですが、それだけでは自分の可能性を狭めることにもなりかねません。
さまざまなことに目を向け、あなたが今いるところから外に出ていくことも大切です。勉強の面では、世界史と地理の大体の流れを理解しておくと、現代世界と対峙する際に見えるものや理解の深まり方が変わってくると思います。

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自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。