歴史を見つめることは、今を見つめることにつながっている

歴史を見つめることは、今を見つめることにつながっている

過去を「追究」することで、「今」が見えてくる

歴史を学ぶことは、過去の事実を覚えることではありません。過去は今に通じており、過去を追究することは、現在が抱えるさまざまな問題・課題を考えるためのヒント・足がかりとなります。「今を見つめるため」に必要な研究であると理解すれば、歴史への興味は一層深まることでしょう。例えば、ヨーロッパにおけるEUは、国家に捉われず欧州全体を1つにする政策上の仕組みです。過去に国境や民族に捉われることでドイツにおけるホロコーストなど他民族への憎悪を生み出したことや、国家間の対立から戦争を引き起こしたことから、EUという欧州全体の平和をめざすプロジェクトが実現しました。ドイツ史の視点から見ると、敗戦国だからこそ自国を復興させたい、そのためにヨーロッパを超大国アメリカをも上回る存在にしたいという面もあることがわかります。

歴史を追究して新たな歴史を作り出す

自分の視点で歴史を読み解き、新しい歴史像を作れることも歴史学の面白さです。これまで誰も追究していないテーマについて、新たな歴史を作るのです。実際には文献に基づきひもといていきますが、このように研究を進めると、同じテーマでも歴史の幅が広がります。例えば、フランス革命におけるトランスジェンダーの問題は未だ多くは触れられていません。男装の女性が実際に活躍していたことの意味などを多面的に解明していけば、自分なりの視点で新たな歴史論を展開できるでしょう。

社会は想像以上に多様性に満ちている

社会の多様性を理解すること・多角的な視点を大切にすることは、歴史学に限らずこれから学びを深めていくうえでとても重要なことです。世の中には、自分とは全く違う環境で育ち、異なる経験をしてきた人々がいて、物事の見方、捉え方は異なります。歴史的に事実だと言われていることも、たった一つの真実ではありません。何事も、いつどこの人が見るのかによって捉え方や見え方が変わり、あくまでも事実の一側面だということがわかるでしょう。

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神戸学院大学 人文学部 人文学科 准教授 北村 厚 先生

神戸学院大学 人文学部 人文学科 准教授 北村 厚 先生

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歴史学

メッセージ

大学での学びの面白さは、自分が興味のある分野の勉強を思う存分できること、専門家から直接学ぶことができることです。だからこそさまざまなことに対して好奇心を持ち、多様性や多角的な視点を大切にしてほしいです。例えば、これまでの自分の常識を疑い、それとは違う事実があることを前提に学びを深めてほしいです。歴史学についても、それまで勉強してきた歴史の考え方とは全く違うと感じるかもしれません。学び進めるうちに、自分の経験や考え方が覆されていくことを楽しめるようになるでしょう。

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