心のストレスが身体に現れる病気と、子どもの本音を引き出すケア

心のストレスが身体に現れる病気と、子どもの本音を引き出すケア

心の健康問題を抱えやすい思春期

心の健康問題を抱えている子どもが増えています。「心身症」とは、心の問題が原因で身体に症状が出る病気です。
原因不明の頭痛や腹痛、起立性調節障害(自律神経の乱れにより立ち上がったときにめまいや頭痛が起きる病気)、摂食障害などが子どもに多いです。特に思春期に発症しやすく、不登校につながることもよくあります。身体の病気のうち、心理的な要因が発症や経過に大きく影響するものはすべて心身症であり、例えば気管支ぜんそくやアトピー性皮ふ炎なども、ストレスで悪化する場合は心身症として対応する必要があります。

「悩みはない」と思っていることも

心身症は、優しくて言いたいことが言えない人、ストレスを自覚しにくい人がなりやすいといわれています。特に子どもの場合、家庭環境や学校での人間関係に強いストレスを感じているのに、つらい気持ちを閉じ込めて身体に不調が出てしまうケースが多くみられます。
そこで看護師はさまざまなコミュニケーションスキルを使い、患者の気持ちに寄り添いながら、思いを口に出せるように心のケアもします。例えば摂食障害の人に対してなぜ食べないのかを追求するのはNGです。患者はただ「やせたい」のでなく、その言葉の裏に別の心の問題を抱えているからです。身体のケアもしながら少しずつコミュニケーションを深め、信頼関係を築いて、心の奥にある本音を引き出していくことが大切です。

不登校やひきこもりを防ぐ

子どもの心身症の看護は多く確立されていません。子どものみならず、保護者の過干渉・過保護が要因のケースや、保護者も深く悩んでいるケースが多く、保護者への心理的サポートも欠かせません。医療職と学校教員など、専門家の連携も必要です。一般に神経症(心の問題が原因で心に症状が出る病気)やうつ病をみるのは精神科、心身症をみるのは心療内科ですが、子ども専門の心療内科の数は限られています。不登校やひきこもりの問題を解決するためにも、子どもの心身症を早期に治療・ケアできる体制が求められています。

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先生情報 / 大学情報

太成学院大学 看護学部 看護学科 講師 廣瀨 寿美子 先生

太成学院大学看護学部 看護学科 講師廣瀨 寿美子 先生

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生涯発達看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

思春期は悩みが多く、心の健康問題による症状が出やすい時期ですが、高校生の今しかできないこと、自分の好きなことを一生懸命やって、笑いのある楽しい高校生活を過ごしてください。人間関係に悩むこともあると思いますが、あなたが笑顔で健康なら家族も幸せになります。自分の持っている力を信じてください。進路も自分のやりたいこと、興味のあることを軸に選んでください。もし人と関わることが好きなら、「看護師」は選択肢の1つになると思います。特に小児看護は子ども、家族を笑顔にできる喜び、やりがいのある仕事です。

先生への質問

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