研究と実践の円環から支える子どもの未来~小児看護学
求められる学校看護師の力と社会的サポート
日常生活を送るために人工呼吸器や酸素吸入、たんの吸引などのケアが必要な「医療的ケア児」は、年々増加しています。病院以外の教育機関でも、そうした子どもたちのケアを行う「学校看護師」をはじめとした医療の力が必要とされています。その役割は、子どもたちが安心安全に教育を受けられるよう、学校関係者と連携・協働しながら援助することです。
各地方自治体では社会的サポートに取り組んでいますが、保護者が授業中に付き添いが必要なケースもあり、より細やかな対応が求められています。
保護者に必要なサポートを「レジリエンス」から分析
子どもたちのケアが必要なのはもちろんですが、保護者のケアも大切です。家事や仕事をしながら障がいのある子どもを育てることは、心身に負荷がかかる場合が多く、ストレスや抑うつといった問題も見られます。保護者の「困難を乗り越える力(レジリエンス)」を支援するために何が必要か、という調査を行い、「同じ境遇にある人との出会い」「子どもの成長と共に保護者と子どもが離れて過ごす時間」「学校の医療的ケアの充実」などが重要であることがわかってきました。
看護の研究と実践から、社会に貢献する
この調査で得られた結果から、「しゃんしゃん育ちの会」という新潟で暮らす医療的ケア児と家族の育ちを支える多職種のネットワークが立ち上がりました。このように「現場」の課題を「研究」として取り組み、その結果を「実践」に活かすような取り組みを続けています。小児看護の目標は、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもが生き生きと過ごせる社会を作ることです。改善策を考え、実際の取り組みにつなげていきます。
このように看護学は、研究成果を現場に活かせる「生きた学問」です。研究の積み重ねや発展は、看護学や医療の実践を確実に変えていくことでしょう。
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先生情報 / 大学情報
新潟大学 医学部 保健学科 准教授 田中 美央 先生
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