電気電子工学を学ぶとプラズマが作れる!?
手で触ることができるプラズマ
心臓の拍動のように、電力をピクンピクンと瞬間的に使うような技術を「パルスパワー」と言います。パルスパワーを応用し、一瞬だけ放電を起こして作れるようになったのが「大気圧プラズマ」です。温度が低いのが特徴で、30年前ごろから研究が盛んになっています。
プラズマとは気体の一部がイオンと電子に分かれて動き回っている状態です。従来の大気圧下で生成するプラズマは、溶接に使われるぐらいの超高温です。一方で、パルスパワーを用いて大気圧下で作ったプラズマは、手で触ってもやけどしない温度です。このため、これまでプラズマと縁がなかった皮膚や、すぐに溶けてしまうビニールのような素材、植物にも照射できるようになりました。この大気圧プラズマをカイワレや豆苗(とうみょう)の種子に当てることで、成長が促進される結果が得られています。これはプラズマによる電気的な刺激が影響しているとみられています。
大気圧プラズマを生成するパルスパワー技術
パルスパワー技術によって一瞬だけ気体に電力が投入され、温度が低いプラズマが生成されます。これを可能にしているのが半導体デバイスとそれを複雑に制御する技術です。半導体は身近なところではスマートフォンやパソコンの中にたくさん使用されています。この半導体の性能が向上してスイッチとして使えるようになり、一瞬の電力供給が可能となり大気圧プラズマの生成や滅菌・殺菌、金属と樹脂の分離などに利用されています。
大学での学びが研究、そして将来へつながる
このパルスパワーを発生させる電源を設計・製作するために必要になるのが、電気回路、電子回路、パワーエレクトロニクス、電気機器、電気機械設計などの知識です。これらは電気・電子系の大学では1~3年生の時に学ぶことができます。大学での学びをより発展させてパルスパワーやプラズマの研究へとつながり、ここで得られた経験を基に建設業、製造業、電力業、情報通信業といった分野で活躍することができます。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
山陽小野田市立山口東京理科大学 工学部 電気工学科 講師 大嶋 伸明 先生
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