点群データから物体を見つけろ! 3D計測データを役立つ形に

点群データから物体を見つけろ! 3D計測データを役立つ形に

3D計測機器の発展

ドローンや3Dスキャナを使って、建物や道路などの立体形状を高密度な「点群データ」として取得できるようになりました。樹木のような複雑な形状も計測できるので、空から森林の樹木の状態を調査することも可能です。この技術は、人の手では不可能だったり、時間がかかったりする作業を効率化して大規模なインフラや環境データの収集を可能にします。しかし、計測機器から得られるのは膨大な数の「点」であり、そのままでは役立てられません。点群データから物体を認識して、コンピュータ内に再構築することが必要です。

点群データの中にある物体を探す

これを行うために、データサイエンスの技術が活用されています。例えば、ドローンが取得した森林の点群データから、1本1本の樹木を認識して、スギ、ヒノキといった種類を特定するために機械学習が用いられています。これにより、森林の樹木の本数、位置、種類、状態などを非破壊で迅速に把握できるため、環境保全に大きく貢献します。
同様に、地上型3Dレーザースキャナを用いて橋のデータを取得して解析することで、経年劣化により傷んだ部分を自動で見つけ出すことができるようになりました。人の手間を大幅に減らせるだけでなく、人の目では見落としがちな部分も見逃さずに客観的で定量的な評価も可能です。

幅広い分野の問題を解決

3D計測技術の研究は、コンピュータで図形を扱う計算幾何学をベースに、数値解析、統計、アルゴリズム、AIなどの幅広い情報技術を組み合わせて、多様な分野の問題にアプローチしています。それぞれの分野の専門家と連携しながら、従来の方法では見えなかった新たな発見や、大幅な効率化を実現しようとしているのです。今後、AI技術をさらに活用して、より精度の高い自動認識技術が開発されることが期待されています。これにより、さまざまな環境や物体の状態をより迅速かつ正確に把握できるようになり、社会インフラの維持管理や環境保全が一層進化するでしょう。

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先生情報 / 大学情報

山陽小野田市立山口東京理科大学 工学部 数理情報科学科 教授 溝口 知広 先生

山陽小野田市立山口東京理科大学 工学部 数理情報科学科 教授 溝口 知広 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

デジタル形状処理、データサイエンス

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メッセージ

大学は、自分の好きなことを勉強できる場所です。そのメリットを生かして好きなことに没頭できれば、充実した学生生活が送れることでしょう。そのために、高校時代に自分の興味関心を見つけて、「ここでこれを勉強したい」という意図を持って進学先を決めてほしいです。それが情報技術なら、ぜひ一緒に学びましょう。そして情報技術の力を発揮させるためには、自分の知らない分野の人たちと連携して、コミュニケーションを取りながら協調して取り組む姿勢が大切なことを知っておいてください。

山陽小野田市立山口東京理科大学に関心を持ったあなたは

山陽小野田市立山口東京理科大学は「確かな基礎教育」を掲げ、基礎学力を育成する体系的な教育を行っています。2016年4月、公立大学法人へと移行、2018年4月西日本初の公立の薬学部を設置し、工学部・薬学部の二学部体制となりました。東京理科大学の姉妹校として、基礎学力を重視した実力主義の教育を受け継ぎ、工学・薬学の専門的な学術を教育・研究するとともに、地域産業界・医療界で活躍する人材を育成します!