コーヒーカップの向こう側:フェアな経済とは何か?
コーヒーはどこから来るか
日本人はコーヒーが好きで、輸入高は世界3位です。このコーヒーはどこから来ているでしょうか。それはブラジル、エチオピアなど途上国です。しかし、そのほとんどは輸出されて先進国で飲まれます。つまり生産する国と、消費される国が違うのです。
どうしてコーヒー生産国は貧しいのか
では、どうして途上国は先進国へのコーヒーの供給地になったのでしょうか。南米にコーヒーが持ち込まれたのは17~18世紀の三角貿易によってです。これにより南米でコーヒーのプランテーションが始まり、ヨーロッパに輸出されるようになりました。コーヒーの生産のためにアフリカから連れてこられたのが黒人の奴隷でした。植民地体制というアンフェア(収奪的)な経済制度の中で、途上国はコーヒーの生産国になっていったのです。そして、独立しても独裁などアンフェアな経済体制をそのまま引き継いでいる国が少なくありません。
また、1杯330円のコーヒーのうち、どれくらいコーヒー生産者に支払われているでしょうか? 実は3〜9円です。ほとんどの利益は、先進国に入ります。こうしたことから、途上国がコーヒーを生産してもなかなか豊かになることができないのです。
フェアな経済にするにはどうすればいいか?
コーヒーの取引をもっとフェアにする方法はいろいろとあります。フェアトレードや、生産者からよりフェアな価格で直接買っているコーヒー豆を買うことなどです。実はフェアに取引されないものはコーヒー以外にもあります。チョコレートの原料であるカカオなどもそうです。さらに言えば、働く人たちもフェアに扱われていません。2013年にバングラデシュで縫製工場が入ったビルが崩落し、そこで働いていた労働者1,134人が亡くなりました。劣悪な労働環境に置かれている人たちの課題にも目を向ける必要があります。また、国内でもブラック企業なども問題があります。
フェアに扱われる経済のあり方を作っていくことが私たちの課題です。そこに世界の未来がかかっているのです。
参考資料
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明治大学 情報コミュニケーション学部 教授 島田 剛 先生
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