赤ちゃんの脳と睡眠との密接な関係
赤ちゃんの脳の発達に深くかかわる睡眠
誰でも自分が赤ちゃんのころの記憶はありません。私たちは生まれたばかりのころのことを知らないまま、大人になり、親になり、そして自ら子どもを育てることになります。赤ちゃんの発達については、自分が歩んできた道であるにもかかわらず、よくわからないままでよいのでしょうか。また公的な発達健診では、起きているときのことを詳しく調べます。1日の半分以上は眠っているにもかかわらず、その眠りについてあまり注目してきませんでした。しかし脳の発達と睡眠には大きな関係があるのです。
コロナ禍で乳幼児の夜更かしが進んでいる
コロナ禍で、乳幼児の睡眠に変化が生じています。2歳までの乳幼児が夜更かしになっているのです。公園で遊んだりする時間が減り、幼稚園や保育園へ行かなくなるにつれて、寝る時間が遅くなり、起きる時間も遅くなっています。赤ちゃんの脳は土壌のようなものです。土壌は一朝一夕では豊かにならないように、脳の発達に毎日の睡眠は欠かせません。睡眠だけでなく、赤ちゃんを学際的にとらえようと設立されたのが、「日本赤ちゃん学会」です。医療、工学、心理学、社会学など多岐にわたる専門家が集まり、赤ちゃんの発達を研究しています。睡眠をはじめ、学際的な見地から赤ちゃんの発達を探っていくのが「赤ちゃん学」なのです。
既存のネットワークを壊して、高速道路を作り上げる
赤ちゃんの脳のネットワークは大人の脳と比べると整備はされていません。裏を返せば自由度が高いとも言えます。赤ちゃんの時代は、脳の神経ネットワークを組み立てていく段階です。それは既存の小さなネットワークを壊して、巨大な高速道路網を作り上げているようなイメージです。赤ちゃんの脳研究によって、脳が作り上げられていく過程を考えることができます。そしてこのことが将来的には、大人の脳の解明にもつながることが期待されています。
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先生情報 / 大学情報
玉川大学 農学部 生産農学科 理科教員養成プログラム 准教授 佐治 量哉 先生
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