進化するものづくりの世界 消費者が満足する製品を作るには?

進化するものづくりの世界 消費者が満足する製品を作るには?

消費者を満足させる「品質管理」

「品質管理」という、消費者が喜ぶような製品やサービスをどう提供するかを研究する学問があります。この研究は、工場で製品を作る際、いかに不良品を作らないかということに焦点をあてて発展してきました。品質の良いものを作っていこうという努力のおかげで、現在は工場での不良品の数が劇的に減っています。しかし、良い製品・サービスがあふれる現代の世の中では「製品が不良品でない」だけでは、もはや消費者は満足できません。製品にかかわるさまざまな人たちが、そろって「品質とは?」ということを考えていかないと、企業が競争に勝ち抜けない時代なのです。

高品質な製品づくりを助ける「QFD」

満足度の高い製品を開発するサポートツールに「quality function deployment(品質機能展開)」(通称:QFD)というものがあります。例えば、テニスのラケットを開発する際、消費者がどのようなラケットを欲しがっているかという意見をアンケートやリサーチなどで集めます。しかし、開発を担当するエンジニアは、その意見を見ただけではどのような製品を作ればいいかわかりません。「壊れにくいラケットが欲しい」という消費者の声を、エンジニアが理解できる技術的な用語や具体的な数値を使った設計図に変換することで、消費者が求めるラケットを作り出すことにつながります。

テーマパークにも「品質管理」は必要

海外の有名テーマパークでもQFDが活用されています。そのパークを作る際、恐竜のアトラクション近くに、動く恐竜のオブジェクトを設置することになりました。アトラクションは「子どもに喜んでもらう」ことが一番のねらいだったので「子どもが喜ぶために、恐竜にどういった感情表現をさせるか」ということを軸に、動物園に通って子どもたちが喜ぶ瞬間をリサーチしました。その結果「子どもは、動物の頭をなでられる・動物と目が合うと喜ぶ」ということがわかったため、それが可能な恐竜を設計し、設置したのです。

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玉川大学 経営学部 国際経営学科 教授 永井 一志 先生

玉川大学 経営学部 国際経営学科 教授 永井 一志 先生

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メッセージ

具体的に進路が決まっていなくても、「どういう分野の勉強がしたいのか」は最低限決めておいた方がいいでしょう。大学を選ぶ際に、大学の名前や周囲の意見をもとに決めたところ、実際に入学してみると違和感を覚えて退学してしまうケースは非常に多いです。入学してから後悔しないように、「人工知能って面白そう」「経営って楽しそう」などの漠然とした考えでもいいので、「何を学びたいのか」「どういう仕事をしたいのか」ということを頭に留めておきましょう。

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―8学部17学科がワンキャンパスに集まる総合大学!―「全人教育」の理念のもと“「人」を育てる”ことをめざす玉川大学は、8学部17学科の学生がワンキャンパスで学んでいます。61万㎡の広大な敷地には、各学科での深い学びに加え、学部学科の垣根を越えた学びの環境を用意。学外での体験型学修や、「使える英語力」を身につける「ELFプログラム」などの独自プログラムも実施しています。また、2020年4月に利用開始した「STREAM Hall 2019」では、農・工・芸術学部が学部の枠を越えた学びを展開します。