コロナ禍で注目されるブレンデッドラーニングが学校教育を変える
講義型授業の限界
学校の授業では、生徒によってはわかっているところを何度も説明される、またはあまりわかっていない部分の説明があっさりと終わる、ということが起こります。一人の教師が多人数を相手にする講義型の授業だけでは、生徒ごとの理解度の差に対応するには限界があります。だからといって学校教育を極端な少人数制にすることは現実的ではありません。そこで、より一人ひとりに合わせた「個別最適化教育」を可能にするために、従来型の授業にデジタル・通信技術を組み合わせた「ブレンデッドラーニング」という手法が開発されています。
ブレンデッドラーニングとは
ブレンデッドラーニングは対面式授業に、講義動画を視聴するeラーニングや、スマートフォンを使ったすき間学習などを加えた複合的な学習方法です。その手法は「どう教えるか」ではなく「どう学ぶか」、つまり学習者の視点に立って開発されていることが特徴です。
例えば「反転学習」という手法は、従来の進め方とは逆に、まず生徒が宿題として講義をオンデマンド型の動画で視聴して予習し、その後に学校の授業で演習を繰り返します。これにより生徒は自分がわかるまで何度でも動画を確認でき、教師はそれが身についているかを教室で個別に確認・指導できるなど、より効率的できめ細かな学びが可能になるのです。
コロナ禍が普及を加速させるか
教育学や教育工学といった分野では、以前からブレンデッドラーニングが研究されてきましたが、日本の学校教育への導入は遅れていました。しかし、コロナ禍でオンライン型授業を否応なしに採用せざるを得なくなったことで、結果的にブレンデッドラーニング普及の追い風になったといえます。ブレンデッドラーニングの効果は、個別最適化、学びの効率の向上だけにはとどまりません。従来の「聞いたことを覚える」受け身型の学習から、一人ひとりが学ぶ喜びを実感できる「楽しい学び」を実現することも、大いに期待されているのです。
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京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 こども教育学科 教授 神月 紀輔 先生
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