屋外環境の温冷感は何で決まる?
屋外環境で快適な場所とは
「快適」というとどんな状態を思い浮かべますか? 建築環境工学では暑くも寒くもない状態とされます。では、自然の気候にさらされ、環境をコントロールできない屋外での快適な場所の条件とは何でしょうか? 屋外環境実験で、気温や湿度、風速や音などの物理刺激の測定と、被験者がその地点の温冷感や快適性を評価する実験を行いました。実験する場所は人工的で殺風景な場所と、樹木が茂る自然豊かな場所の2か所です。殺風景な場所は、実験室実験に似た結果が出ました。一方で木々に囲まれ、鳥のさえずりも聞こえる自然豊かな場所は温冷感が和らいで感じられていました。つまり、同じ物理刺激でも場所によって温冷感に違いがみられるという結果が得られたのです。
視覚や聴覚刺激で左右される温冷感
例えば、夏に風鈴のチリンチリンという音を聞き、「暑さ感」が和らいだ経験はありませんか。人はあるものに意識が向かうとほかのものが気にならなくなる傾向があります。これは認知心理学で「注意」といいます。熱中症になるほどの高温は論外ですが、健康の安全が担保できていれば、「暑さ感」や「寒さ感」は感覚上で若干コントロールが可能なのです。周辺環境で人の受け取る感覚は変わるということです。
快適な屋外環境で人がつながる
人は目、耳、鼻、皮膚などのセンサーを通して外部刺激を受けます。快適さを評価する過程で何の刺激が優先されるかはわかりません。それが明らかになれば、快適な場所の条件がわかるはずです。研究成果は、屋外のオープンスペースや公園設計の基礎資料に利用すれば、居心地のよい屋外施設が造れます。居心地のよい場には人が集まるでしょう。人が集まると何らかの活動が起こります。例えば路上パフォーマンス。場に居合わせた人々は共通の体験を通して共感し会話が生まれ交流に発展するかもしれません。こうした屋外の公共空間での刺激や出会い、ふれあいは都市生活の魅力です。屋外環境を整えることは、人がつながる豊かな都市生活の一助になるのです。
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先生情報 / 大学情報
京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 生活環境学科 教授 竹原 広実 先生
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