宇宙解明の鍵となる暗黒物質を探せ!

宇宙解明の鍵となる暗黒物質を探せ!

大量にあるのに正体不明な暗黒物質

理論的には宇宙に存在するはずなのに、いまだに発見されていない物質があります。それが「暗黒物質」です。物質の最小構成要素である素粒子であり、宇宙から地球にもたくさん飛んできていて、私たちの体を通過していると考えられています。暗黒物質は宇宙の成り立ちや進化を決める重要な存在であり、宇宙の謎を解明する手がかりになります。未だ正体不明の暗黒物質をキャッチしようと、世界中の研究者がさまざまな実験や観測装置で探しています。

素粒子の特性を利用して測定・解析

暗黒物質は目に見えず、物質や光にもほとんど反応しないため、素粒子として予想される特性を利用して観測します。暗黒物質の粒どうしがぶつかると、消えて「反粒子」という粒子をつくると考えられています。反粒子とは、電子・陽子などの普通の粒子と質量は同じですが、プラスとマイナスが正反対の電気をもつ粒子のことをいいます。これもペアとなる粒子にぶつかると消えてなくなり、さらに別の粒子を生み出します。この現象を、粒子をキャッチすると光る性質をもつプラスチック板や結晶を用いて「見える化」します。それを光センサーで電気信号に変えてデータ分析をすることで、暗黒物質によってつくられた反粒子を探します。

先進的な技術とチャレンジで宇宙の謎に迫る

暗黒物質の探索で有効な手法のひとつは、宇宙空間を飛び交う粒子を観測することです。国際宇宙ステーションのきぼう日本実験棟に宇宙からの粒子を観測する装置を設置し、データ解析が行われています。また、高い高度なら地球上でも観測できます。粒子の進路をそらす地磁気の影響を受けにくい南極を選び、地上約35kmの宇宙に近い高さで周回する気球に搭載する測定器の開発が進められています。
未知の物質を探すだけに、これまでにない発想や創意工夫が必要です。そのためには先端的なハードやソフト技術が不可欠であり、それらを駆使して宇宙の謎に迫ろうとしているのです。暗黒物質の発見に成功したら、ノーベル賞受賞は間違いないでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

神奈川大学 工学部 応用物理学科 教授 清水 雄輝 先生

神奈川大学 工学部 応用物理学科 教授 清水 雄輝 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

宇宙物理学、応用物理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

この世界は何からできているのか、その謎に迫るのが宇宙や素粒子に関わる研究です。目に見えない物質と向き合うだけに、想像力が不可欠です。目的を達するために、ハードやソフトのさまざまな科学技術の知識を総動員し、計画を立てて観測装置を開発していきます。この研究で得られる対応力や発想力、行動力は、社会人としても生きる力となるでしょう。
未知のものを見つけるチャンスがあるのは夢があり、ワクワクします。想像力を膨らませていろいろと試しながら、楽しく一緒に宇宙や物質の謎に迫りましょう。

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1928年創立以来、真の実学をめざし、自ら成長できる人材を育成してきました。近年では2021年、グローバル系3学部が集うみなとみらいキャンパスが誕生。2022年、「建築学部」を開設、2023年には理工学部を改組し「化学生命、情報学部」を開設。文理11学部すべてを横浜エリアに集結させ、世界レベルをめざす総合大学として、新たな一歩を踏み出しました。
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