講義No.10986 経営学・商学

会計学は、「もうかってる」を数字で見える化する学問

会計学は、「もうかってる」を数字で見える化する学問

会計というメーターを見て会社を運転する

自動車を運転するとき、車にスピードメーターがなくガソリン残量の表示もないとしたら、安全運転も遠出もできないでしょう。会計学は経営者にとって、会社という車を動かすための各種のメーターのようなものです。自分の会社がどのくらいもうかっているのか、新規事業を立ち上げる余力があるかなどを知る、経営上の重要な情報源です。また投資家も、会計を通じて作られた財務諸表を見ながら、どの会社に貴重な資産を投資するかを考えています。経営者は会計を知らないと経営はできませんし、投資家も投資先を見つけられません。会計は学んでおいて損のない、実学的な情報装置です。

会計学とは見える化の学問

会計学の本質は、感覚的なものをしっかりと数字に落とし込む「見える化」にあります。お小遣い帳のように現金の出入りを記録するだけでなく、「もうかっているのか」をきちんと理解するために利益を計算します。例えば、お小遣い帳だけでは大きなお買い物をした時、一時的に多額の赤字が出てしまったという記録になってしまいますが、それだけではその会社の「稼ぐ力」を理解できなかったりします。「稼ぐ力」という抽象的で感覚的な概念を数字で見える化し、経済取引をスムーズにすることに会計学の役割と使命があります。

見える化の限界と挑戦

見える化に会計学の使命があると言いましたが、まだその挑戦は道半ばです。例えば、企業や製品のブランド価値を金銭的に評価することは容易ではありません。同様に、従業員や経営者の資質や能力は会社運営をしていくうえで重要ですが、その価値を客観的に測定することも難しかったりします。しかし、最近では、資源量と成果のバランスから経営者の能力を測定しようとする試みもあります。会計数値を使って「少ない資源で多くの成果をもたらす優秀な経営者」は誰なのかを統計解析などでスコア化するというものです。見えなかったものを見える化し、管理できるようにすることに会計学の醍醐味(だいごみ)があります。

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先生情報 / 大学情報

一橋大学 商学部  准教授 河内山 拓磨 先生

一橋大学 商学部 准教授 河内山 拓磨 先生

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会計学、経営学

先生が目指すSDGs

メッセージ

日本人が将来を考えるとき、過去から未来に向かう時系列の矢印に従っていることが多い印象です。そうではなく、将来のある時点、例えば2040年に自分がどうなっていたいか、世の中はどうなっていそうかと考え、そこから逆算して今を考えるバックキャスティング法をおすすめします。
進路や学部を選ぶときには、偏差値や大学名・企業名ではなく、どんな分野や社会課題にどうやって携わっていきたいかが重要です。将来のあるべき姿から考えて、今の自分に一番刺さるものを見つけると、実りの多い進路選択になるでしょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

一橋大学に関心を持ったあなたは

一橋大学の大きな特色として、まず第1に挙げられるのは、我が国で最も伝統のある社会科学の総合大学として、常に学界をリードしてきたという長い歴史と実績、並びにこの伝統を受け継ぎ、人文科学を含む広い分野で、新しい問題領域の開拓と解明を推進する豊富な教授陣に恵まれていることです。第2は、商学部・経済学部・法学部・社会学部の垣根が低く、学生は各学部の開設科目を自由に履修することができます。また、10人から15人程度の少人数で行われているゼミナール制度(必修)を核とする少数精鋭教育も本学の特色のひとつです。