会計学は、「もうかってる」を数字で見える化する学問
会計というメーターを見て会社を運転する
自動車を運転するとき、車にスピードメーターがなくガソリン残量の表示もないとしたら、安全運転も遠出もできないでしょう。会計学は経営者にとって、会社という車を動かすための各種のメーターのようなものです。自分の会社がどのくらいもうかっているのか、新規事業を立ち上げる余力があるかなどを知る、経営上の重要な情報源です。また投資家も、会計を通じて作られた財務諸表を見ながら、どの会社に貴重な資産を投資するかを考えています。経営者は会計を知らないと経営はできませんし、投資家も投資先を見つけられません。会計は学んでおいて損のない、実学的な情報装置です。
会計学とは見える化の学問
会計学の本質は、感覚的なものをしっかりと数字に落とし込む「見える化」にあります。お小遣い帳のように現金の出入りを記録するだけでなく、「もうかっているのか」をきちんと理解するために利益を計算します。例えば、お小遣い帳だけでは大きなお買い物をした時、一時的に多額の赤字が出てしまったという記録になってしまいますが、それだけではその会社の「稼ぐ力」を理解できなかったりします。「稼ぐ力」という抽象的で感覚的な概念を数字で見える化し、経済取引をスムーズにすることに会計学の役割と使命があります。
見える化の限界と挑戦
見える化に会計学の使命があると言いましたが、まだその挑戦は道半ばです。例えば、企業や製品のブランド価値を金銭的に評価することは容易ではありません。同様に、従業員や経営者の資質や能力は会社運営をしていくうえで重要ですが、その価値を客観的に測定することも難しかったりします。しかし、最近では、資源量と成果のバランスから経営者の能力を測定しようとする試みもあります。会計数値を使って「少ない資源で多くの成果をもたらす優秀な経営者」は誰なのかを統計解析などでスコア化するというものです。見えなかったものを見える化し、管理できるようにすることに会計学の醍醐味(だいごみ)があります。
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先生情報 / 大学情報
一橋大学 商学部 准教授 河内山 拓磨 先生
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