アイデアが「資産」として扱われない理由とは?
発明やノウハウは会社の重要な財産
会計学の分野では、会社が持つ財産のことを「資産」といいます。資産には、現金だけではなく土地や建物などいろいろなものがあります。しかし、会社の財産はこうした目に見えるものだけではありません。考え出された「アイデア」も重要な財産となります。こうした財産的な価値を持つアイデアのことを「知的財産」といいます。知的財産には、発明やノウハウ、ブランド力など、さまざまなものが含まれます。
アイデアはいろいろな場所でお金を生み出す
例えば、難病の治療薬など画期的な発明はお金を生み出すので、財産となるのはわかりやすいかもしれません。では「ノウハウ」はどうでしょう。あなたはスーパーで、卵売り場が定期的に移動するのを知っていますか。卵はお金がある人もない人もみんなが買うものです。その売り場を変えるとお客さんが卵を探して移動し、ついでにほかの商品も買ってくれるというわけです。これが「ノウハウ」の一例で、会社の売り上げは、このようなノウハウの積み重ねで成り立っています。「ブランド力」はというと、例えば同じ洋服であっても、有名ブランドのロゴが入っているものは値段がぐんと跳ね上がります。このようにいずれも財産につながるものですが、実はこれらのアイデアは、会計上での「資産」には含まれません。
アイデアの扱いが変われば未来が変わる?
アイデアが「資産」として扱われないのは、失敗に終わる可能性もあるからです。例えば開発された新薬に予期せぬ副作用があったり、新商品が思ったよりもヒットしなかったりするのは十分ありえることです。ただし、「ブランド力」については過去の実績があるので、比較的、資産として扱いやすいといえるでしょう。
アイデアを資産として評価するのは、「アイデアが今後どんな価値を生み出すのか」という未来を予想することでもあります。難しいことですが、実際に価値を生み出せば会社の評価も変わり、世の中の変化につながっていくかもしれないのです。
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久留米大学 商学部 商学科 教授 金田 堅太郎 先生
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