高速で大容量のメモリーを作る研磨技術は「ナノメートル」の世界
スマートフォンがサクサク動くのは研磨のおかげ
パソコンやスマートフォンに使われているプロセッサー、磁気ディスク、メモリーなど、高機能の電子部品の製造には、高精度の加工技術が使われています。電子部品の配線の微細化に不可欠なのが研磨加工で、この加工が現在ますます重要性を増しています。新しいスマートフォンが次々と店頭に並びますが、どんどん速くなり、容量が大きくなっているのは、研磨技術のおかげです。研磨技術を使ってプロセッサーやメモリーをどんどん微細化しているからこそ、サクサク動き、容量の大きなゲームも楽しめるのです。
より平らにすることで速くて大容量のメモリーへ
スマートフォンのプロセッサーの配線幅は5~7ナノメートルです。半導ウエハの表面の絶縁膜に微細な配線パターンの微細な溝を作り、表面に金属の膜をつけてから表面の金属を研磨して除去すると、ウエハの表面に微細な配線パターンが浮き出てきます。この技術で半導体の配線の微細化が可能になりました。研磨して微細化する技術は削るというよりも摩耗させるというイメージです。平らな面に作り込むと、速いプロセッサーや大容量のメモリーができます。研磨技術で微細化された半導体は、私たちの生活を快適にしている立役者なのです。
技術が生活に役立つのはマネジメントがあるから
技術は多くの可能性を秘めていますが、技術を作るだけでは生活に役立つわけではありません。研磨技術には表面を極めて平らにできる可能性があります。研磨技術は、微細配線の構造、材料などに関連した電気、電子、化学、物理、機械などの多くの分野の技術が連携させる研究開発のマネジメントをして製品化されています。また、製品の製造では製造の品質や製造コストがマネジメントされて、技術を使った製品が市場に出ます。このように、技術の持っている可能性をマネジメントして製品化に生かしているからこそ、研磨でスマートフォンが高性能化され生活をワクワクさせるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
三条市立大学 工学部 技術・経営工学科 教授 大川 哲男 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
機械工学、経営工学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?