イメージを具現化する「プロトタイピング」とは?
なんでもかんでも3Dプリンタで作るべきか
プロトタイピングは製品やサービス、システムなどのデザインや開発の段階でそのコンセプトを検証するために行う手法のことで、アイデアやイメージを実体化もしくは具現化したものです。最近では、製品開発においてプロトタイプ、いわゆる試作品は3Dプリンタで作ることが時流になっています。3Dプリンタを使うと確かに、より製品に近い試作品が完成するのですが、時間やコストかかることと、リアルすぎて、それがその後の標準となり、さらなる検証の際、そこから抜け出せなくなるデメリットがあります。相手が確認したいこと、例えば手触りや質感などは3Dプリンタで作っても伝わりません。
イメージを具現化するにはいくつもの選択肢がある
プロトタイピングに関する実務は学問的に確立されていない分野です。イメージを具現化するには、3Dプリンタ以外にいくつも選択肢があり、どの方法を選ぶと一番効率的なのかを、ある種の尺度として明確化することが大切です。モノづくりの現場では、商品企画、開発、生産、販売の各部門で求めている要素は往々にして異なり、プロトタイプに対する要求事項をすり合わせて共有する必要があります。全体の大きさを伝えるだけなら、段ボールで作るだけでよく、重さだったら段ボールに重りをいれて作ればいいだけです。3Dプリンタでコストと時間をかけて作る必要はないのです。
概念をすり合わせ数値化することで明確になる
プロトタイピングでは、相手が求めるものを見える化する必要があります。入念なヒアリングを行い、概念をすり合わせた上に、コスト、性能、サイズなどの要求に対する満足度を数値化することで、評価を明確化できます。さらに、検証すべき対象を考慮した方法でプロトタイプすることで正確な判断が可能となり、効率的に次の段階に進むことができます。すなわち、概念の満足度の数値化、適切なプロトタイプ方法を選択する仕組みを構築することが、モノづくりの今後の課題なのです。
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先生情報 / 大学情報
三条市立大学 工学部 技術・経営工学科 教授 茨木 正一 先生
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