「診療情報管理士」が地域医療の救世主になる
時代が求めるビッグデータの医療への活用
データ分析によって効率的かつ効果的な治療を可能にし、病院経営の安定化を患者の安心につなげる医療マネジメントが注目されています。近年では「診療情報管理士」という資格や、それを生かした活躍の場も生まれてきました。
病院には医師が治療を行った際に、どんな病気に対してどんな治療や薬を施したか、どれくらいの期間をかけ、どれくらい症状が改善されたかなどのビッグデータがあります。ただし、そのデータを医師が必ずしも使いこなせるわけではないため、専門職が待望されており、それが診療情報管理士というわけです。
慣れ親しんだ街で暮らすために
データの活用法はさまざまです。例えば自分の病院と同じ地域内にある、同規模の病院のデータを比較することも可能です。それにより自分の病院の手術や治療実績などの特長がわかれば、その点をアピールし、他病院との差別化を図ることができます。
データは、地域包括ケアシステムにも生かすことができます。少子高齢化が進む中、病気になっても慣れ親しんだ地域社会の中でより良く暮らしていくのが理想的なあり方でしょう。そのために介護や福祉サービス、かかりつけ医などと連携し、地域の中で自分の病院がどういった役割を果たすべきかがデータを用いることで見えてきます。当然、診療情報管理士にはITに加え、医療や介護・福祉の制度など幅広い知識が求められます。
診療情報管理士の広がる可能性
医療マネジメントの体制が確立されるには、医師や看護師も病気のことだけでなく、予防医療も含め、患者の生活全般に目を向ける必要があります。家庭や介護施設などを訪問する在宅医療に関わる医療・介護従事者など、多職種間の連携も欠かせません。
この仕組みが整えば、データをもとに地域が一丸となり、病気が治った後の生活を送る上で、患者に新たな方向性を示すことも難しくなくなります。診療情報管理士も病院だけでなく、行政や予防保険の分野などへと活躍のフィールドを広げていくと考えられています。
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国際医療福祉大学 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 教授 桑原 直行 先生
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