ヘビーネットショッパーの行動から探るECのこれから

ヘビーネットショッパーの行動から探るECのこれから

ECのヘビーユーザーを調査

私たちの生活に浸透したEC(eコマース:電子商取引)ですが、この市場はまだ成長すると見込まれています。今後のEC利用を考えるうえで手がかりになるのが、ECサイトやネットスーパーを定期的にくり返し利用している「ヘビーネットショッパー」の動向です。
30~40代が中心のこの購買層を調査すると、いくつかの傾向が見られました。一つが、「送料」に対して否定的な意識があり、送料が無料になるまで購買することです。一方、最初に目についたECサイトの価格が安ければ、そのサイトを継続して使う傾向があります。価格に敏感な場合、実店舗ならチラシを見比べ、安い商品を探す消費者も少なくない中、ヘビーネットショッパーはポイントをためる目的もあってか、ECサイトをあまり比較しないとわかりました。

シニア層にこそ便利

ヘビーネットショッパーは、忙しさを理由にネットショップを使う場合が多く、時間を取られるECサイトの比較などはしないと考察できます。この傾向からEC市場で顧客を獲得するには、プロモーション(宣伝)を展開して認知度を高め、消費者に一度試してもらうことが効果的といえます。
もう一つ着目したいのが、現在ECをあまり活用していないシニア層の取り込みです。わざわざ出かけなくても、水などの重くかさばる荷物を家まで届けてくれるECは、シニア層にこそです。

社会課題の解消にも役立つ

シニア層にECが広まれば、「買い物難民」という社会課題の解消にもつながります。昨今、小売店減少などの影響を受け、日常の買い物に不便する地域があります。移動販売車を頼るにしても、数日分の食料品を買って家まで運ぶのは、高齢者には負担でしょう。デジタルに不慣れでECを敬遠する傾向にあるシニア層ですが、コミュニティのリーダー的人物が使うと、ほかの人たちの意識も変わるなどの先行研究もあります。誰かにインフルエンサー的存在を務めてもらうなど、周りの取り組み次第ではシニア層がもっとECを活用できるようになると考えられます。

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玉川大学 経営学部 国際経営学科 准教授 矢野 尚幸 先生

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経営学は、実に範囲の広い学問です。例えば何となく面白そうとマーケティングを学んだとして、それが想像と違っても、経営学のほかのジャンルで必ず生きてきます。学びたい気持ちに必ず応えてくれる学問だと思います。さらに、本学科は「国際」と冠されている通り、英語の授業数も多く、経営学と両方をしっかり身につけられます。少人数制も特徴で、グループディスカッションといった発表の機会も充実しています。仲間と皆で何かを考え、作り上げたいなら、ぜひ一緒に学びましょう。

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