住民自らの手で行う地域づくり「まちづくり計画」

住民自らの手で行う地域づくり「まちづくり計画」

地域の課題や問題の解決を行政まかせにしない

私たちが住む地域には、安心安全や防犯、福祉など、さまざまな課題・悩み事があります。こうした問題の解決を行政まかせにするのではなく、地区の住民が自分たちの手で解決に向けた計画をつくり、まちづくりを行おうとする動きが加速しています。住民たち自らがインフラの整備を含む地域の5年後、10年後のあるべき姿を描く総合計画をつくり、行政と一体となって進めるもので、通称「まちづくり計画」と呼ばれています。取り組む地域は、全国約1700の自治体の中で、すでに多くの地区にのぼっています。

社会的弱者への配慮

こうした住民の手によるまちづくり計画は、1970年代後半にアメリカで始まりました。まちのプランニングや将来像を描く時に、行政だけの上からのやり方には問題があるという考え方です。ニューヨークに住んでいたポール・ダビドフにより提唱された計画理念で、主流の計画から排除されがちな黒人やイタリア系などの社会的弱者の権利を要求するためには、社会グループと運動家による計画の対案づくりと政府に対する働きかけが重要であるとして、アドボカシー・プランニング(Advocacy Planning)と呼ばれています。これは地域を設計するコミュニティプランニング(Community Planning)の根幹をなす手法となりつつあります。

成功させるには一定のルールや手法が重要

まちづくり計画の進め方には、成功させるための一定のルールがあります。例えば、地域の実情を知るために住民からアンケートを取る手法にしても、質問項目やデータのまとめ方など専門家のアドバイスが重要になります。そのほか、まちづくり協議会などの組織をつくること、しっかりしたコミュニティプランニング、さらにコミュニティ・マッチングファンドのようなお金を出し合うやり方などがポイントになります。さらに、住民だけが盛り上がってもうまくいきません。行政を巻き込んだ横断的な体制で、計画を浸透させることが大事なのです。

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先生情報 / 大学情報

福山市立大学 都市経営学部 都市経営学科 教授 前山 総一郎 先生

福山市立大学 都市経営学部 都市経営学科 教授 前山 総一郎 先生

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都市社会学、都市経営学

メッセージ

私は、都市社会学という領域で社会のコミュニティの仕組み、あるいは行政の仕組みを変える研究・仕事に取り組んでいます。あなたは今、受験勉強で大変でしょうが、その努力はこれから一つひとつ身になっていくと思います。私のゼミの学生さん達も、高校時代の受験勉強で蓄えた力をもとに一生懸命に社会調査や住民へのヒヤリング、福山市との共同事業などに前向きに取り組んで力を発揮しています。あなたの受験勉強も必ず役立つ時がくると思います。頑張ってください。

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福山市立大学は、福山市が設置する公立大学、4学期制による効果的な履修、4年間を通じた少人数参加型授業や、街と一体となったキャンパスを拠点に、福山市全体をフィールドとした体験型授業の充実が特色です。公立大学の特色を生かし、教育学部では地域の教育・保育施設との連携により実践力のある教育者・保育者を目指します。都市経営学部は全国初の学際的な学部で、環境を基盤として工学系、経済学系、社会学系の3つの領域を総合的に学び、持続的な都市社会の発展を担える人材を育成します。