客足の減った温泉地に、新しい価値を生み出す方法とは?
地域らしさを活かして持続可能な温泉街に
かつて温泉地は旅行先として人気が高く、団体客や近隣の高齢者を中心ににぎわいを見せていました。しかし近年、ライフスタイルの変化などから次第に客足が減り、厳しい状況に置かれている温泉地もあります。そんななか各地で持続可能な温泉地をめざして様々な挑戦が行われています。ここでは、山形県にある小野川(おのがわ)温泉の取り組みを紹介します。
特徴を明確にし、ターゲットを絞ってPR
小野川温泉は小さな温泉街ですが泉質がよいという口コミがあります。その口コミを科学的に分析し強みにしようと地元の観光まちづくり組織が取り組みの中心となり、まずは専門家に依頼して温泉の成分を分析しました。そして利用者に泉質の印象についてアンケートを実施しその結果と照らし合わせて、温泉に入ることで感じられる効果を詳細に検証したのです。調査の結果、利用者は「肌がすべすべになる」と実感していることがわかったので、美容に関心が高い人向けの旅行プランを提案しました。また小野川温泉に入ると「安らぐ」という結果が得られたことから、心身の健康につながる地域づくりに向けて取り組みが始まっています。この事例のように、まずはその地域の特徴を詳しく調べ、新しい価値を見つけることが大切です。そこに親和性の高い人をターゲットにして売り込んでいけば、新たな顧客の開拓につながっていきます。
みんなの力で
泉質にこだわらずとも地域の強みをいかすことができます。例えば、大型旅館などではMICE(企業などの会議や旅行、国際会議、展示会などのビジネスイベント)の会場として活用する方法があります。また、ほかの観光地に近い立地であれば、そこへ遊びにいくための拠点としてもPRできるでしょう。
どんな方法にせよ、サステイナブルな地域づくりは関連事業者や行政だけでなく、住民、時には地域外の「応援団」も力を合わせて継続的に行っていく姿勢が大切です。多様な意見が、今までになかった気づきや発想をもたらしてくれるからです。
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先生情報 / 大学情報
山形大学 工学部 建築・デザイン学科 助教 高澤 由美 先生
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