植物の代謝機能解明で、飢餓をもたらす雑草を防除する新技術の開発へ

植物の代謝機能解明で、飢餓をもたらす雑草を防除する新技術の開発へ

雑草を防除するには?

雑草を防除するためには、植物の成長を制御する技術の開発が必要です。以前から、植物の発芽を制御する植物ホルモンの研究が進められ、すでに農薬に応用されています。しかし、従来の農薬ではすべての雑草に効果があるわけではなく、また中には必要な植物まで枯らしてしまうものもあります。そこで近年では、雑草を防除する新たな技術開発を目的として、植物が化合物をどのように生成しているのか、代謝(分解)機能のメカニズムを解明する研究が進められています。

雑草の発芽を阻止するには

日本では今のところ被害がなく、あまり知られていませんが、アフリカから地中海沿岸にかけてハマウツボ科の根寄生雑草が野菜や豆類などの農産物に甚大な被害を及ぼしています。特に食糧問題を抱えるアフリカでは、飢餓や貧困の原因となっており、早急な解決が求められています。実際にハマウツボ科ハマウツボ属ヤセウツボを使って、その発芽過程における代謝機能のメカニズムを調べてみると、オリゴ糖の一種であるプランテオース(ショ糖にガラクトースが結合した三糖)という物質を代謝(分解)する特徴があることがわかりました。さらにこのプランテオースの代謝は、ヤセウツボだけでなく、ハマウツボ科の根寄生雑草では共通して、発芽のために必要であることがわかったのです。つまり、プランテオースの代謝を阻害するような酵素を使えば、ハマウツボ科の根寄生雑草のみを防除することが可能かもしれません。現在、この酵素が作用するメカニズムの詳細な研究が進められています。

紫外線でポリフェノールを増やす

植物の代謝機能の研究は、農産物の機能性向上にも応用されています。植物はポリフェノールという人間の健康に有益な機能性成分を持っています。植物に波長の短い紫外線B波を当てると、ポリフェノールが増えることがわかっています。そこで、細かい波長の設定が可能なLEDを用いて、ポリフェノールが増えるメカニズムを解明する研究が行われています。

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大阪公立大学 農学部 応用生物科学科 教授 岡澤 敦司 先生

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農学、生物有機化学、生化学

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メッセージ

理系の研究は実験が中心となりますが、レポートや論文など、文章を書く機会も多くあります。そのため、まずはよい文章にたくさん触れることが大切です。学生時代には、いろいろな分野の本を読んでほしいです。もちろん英語も重要ですが、その基礎となる日本語の文章力が大切です。
そして今の時代は、インターネットなども活用し、海外との共同研究が盛んになってきています。研究を通じて、文化や言葉、国境を越えた出会いがありますから、さまざまな人と交流できるような積極性を持ちましょう。

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